大分県佐伯市にあるJR日豊本線(にっぽうほんせん)の宗太郎駅。大分県と宮崎県の県境と、大分支社・宮崎支社の支社境界にあるまさに「境界駅」で、2024年3月のダイヤ改正で、下り1本、上り2本のみ停車の「秘境駅」的な存在。普通列車の運転本数が少ないため、青春18きっぷ利用者にも「宗太郎越え」と称されています。
観光特急「36ぷらす3」が特別停車
大正12年12月15日、鉄道省が宗太郎信号場として開設したのが始まり。
昭和22年3月1日、駅に昇格しましたが、昭和47年3月30日、無人駅になっています。
日豊本線という「本線」ながら、隣の重岡駅とともに延岡駅方面の下り列車は1本しかなく、6:54発延岡行き普通列車が始発列車で、しかも終電となります。
上りも6:39発佐伯行き始発列車の次は20:35佐伯行きで終電といった感じ。
駅前に国道10号が通るので、本来「秘境駅」とはいえない存在ですが、始発が終電という下車を許さない過酷な環境から、隣の重岡駅とともに「秘境駅」的な存在になっています。
宗太郎駅南側の第四宗太郎トンネル延岡口と大分・宮崎県境の間が、JR九州大分支社とJR九州宮崎支社の境界。
かつての大分鉄道管理局と門司鉄道管理局宮崎管理部の境で、大部分の普通列車は大分県側は佐伯駅、宮崎県側は延岡駅での折り返し運転になっているため、佐伯駅〜延岡駅間は運転本数が激減する区間になっているのです。
鉄道ファンが「宗太郎越え」というのは、駅東側の峠越えの旧道「宗太郎越」(峠の名称にもなっています)を洒落たネーミングで、地域に精通したウィットに富んだもの。
鐙川(あぶみがわ)沿いに日豊本線と国道10号が通っていますが、藩政時代には急峻な峡谷が街道の掘削を阻み、日豊本線も合計37のトンネルでこの山峡の隘路を克服しています。
しかも第四宗太郎トンネルは、掘削中(大正12年4月29日)に大崩壊を起こし、既存のトンネルを放棄、新しいトンネルを掘削し直していますが(山腹の崩壊した部分は宗太郎桟橋で抜けています)、一帯は安山岩質の集塊溶岩(火山噴出物が固まってできた岩)の崖錐地(がいすいち=集塊溶岩が崖下に堆積)で工事も困難を極めたのです。
土曜日には宮崎空港駅・宮崎駅~ 大分駅・別府駅を走るJR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車の特急「36ぷらす3」が重岡駅とともに特別停車し、ふだんは降りることがままならない駅のホームを歩くことができます。
1日の平均利用人数は0.2人! 九州の秘境駅、宗太郎駅へ! | |
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