日光史跡探勝路(滝尾神社コース)の終点、白糸の滝脇に鎮座するのが滝尾神社(たきのおじんじゃ)。二荒山神社の別宮で、二荒山神社の主祭神、大己貴命(おおなむちのみこと)の妃神(きさきがみ)で女峰山の女神・田心姫命(たごりひめのみこと)が祀られています。日光史跡探勝路を歩かない場合には神社下まで車で到達可能。
空海創建と伝わる日光二社一寺屈指の霊域
本宮神社、日光二荒山神社とともに勝道上人の日光開山以来の神仏習合の歴史を伝える「日光三社権現」のひとつで、弘仁11年(820年)、空海(弘法大師)の創建と伝えられています。
参道右奥の断崖上にある影向石(ようごういし)と祠が空海が女神降臨を祈願したという地です。
江戸時代初期の正保3年(1646年)建立の楼門、拝殿、唐門、三間社流造りの本殿、鳥居(運だめしの鳥居)、参道の石畳は国の重要文化財。
本殿の背面に扉が付いているのは、神体山である女峰山を遙拝するため。
本殿裏には三本杉の巨木が立ち(2代目の三本杉です)、石鳥居や石灯籠が並び石柵(いしさく)を巡らした一画があり、ここが空海の祈願により田心姫命の降臨した聖地。
その手前には神体山「女峰山」遥拝のため自分の身を清めて俗界と縁を切る「無縁橋」があり、自分の歳の歩数で渡ると、女峰山山頂奥宮まで登ったことになり、願いが叶うという信仰があります。
子授け・安産、子育ての神様
明治4年の神仏分離令までは、楼門(神仏分離以前は仁王門)に弘法大師筆と伝わる「女体中宮」の扁額が掲げられ、仁王像が安置されていました。
境内には、この水でお酒を造ると良酒ができるという「酒の泉」、鳥居の小さな穴に石を3回投げひとつでも穴を通ったら良運という「運試しの鳥居」、子宝に恵まれ安産になるという「子種石」(子種権現)、空海創建という滝尾稲荷神社などもあり、日光二社一寺屈指の霊域になっています。
4月の『弥生祭』では日光二荒山神社から滝尾神社へと滝尾神社の神輿が渡御します。
滝尾神社本殿は、本宮神社本殿とともに日光二荒山神社の別宮として世界文化遺産「日光の社寺」の構成資産になっています。
神仏分離令で、輪王寺、二荒山神社、東照宮が分けられるまでは、日光三社大権現の女体中宮として重要な霊域だったのです。
また東照宮が創建されるまではこの滝尾一帯が日光山の中心的な場所で、日光史跡探勝路(滝尾神社コース)途中にある別所跡(明治初年に別所は廃絶)は、「日光責め」で知られる日光山輪王寺の『強飯式』(毎年4月2日)発祥の地。
滝尾の地には500もの僧坊が建ち並んでいたのです。
滝尾神社へは神橋から日光史跡探勝路を歩くコースと、日光二荒山神社の社前から峠(行者堂=女峰山登山口)を超えて至るコースの2つがあります。
後者は少し山道となるので足回りはしっかりと。
三山 | 三仏 | 三所 | 三神 | 三社 |
女峰山 | 阿弥陀如来 | 女体権現 | 田心姫命 | 滝尾権現 |
男体山 | 千手観音 | 男体権現 | 大巳貴命 | 新宮権現 |
太郎山 | 馬頭観音 | 太郎大明神 | 味耜高彦根命 | 本宮権現 |
名称 | 滝尾神社/たきのおじんじゃ |
所在地 | 栃木県日光市山内2310-1 |
関連HP | 日光二荒山神社公式ホームページ |
電車・バスで | 東武日光駅から東武バス世界遺産めぐりでホテル清晃苑前下車、徒歩20分 |
ドライブで | 日光宇都宮道路日光ICから約4km |
駐車場 | 10台/無料、東照宮駐車場(100台/有料) |
問い合わせ | 日光二荒山神社 TEL:0288-54-0535 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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