日光東照宮の有料エリアの入口、表門を入ったすぐ左手にあるのが神厩舎。神馬(しんめ)をつなぐ厩(うまや)で、古来、猿は、馬の病を治したり、 馬の世話をするなどされているところから、長押(なげし)上には猿の彫刻8面が描かれ、人間の一生が風刺されています。とくに有名なのが「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿。
神厩舎は祭神が乗る神馬(しんめ)の厩
御神馬は祭神が乗る馬のこと。
日光東照宮の初代の御神馬(ごしんめ)は徳川家康が関が原の戦いで乗ったとされる名馬で、元和3年(1617年)から亡くなる寛永7年(1630年)まで東照宮に御神馬として奉仕しています(滝尾道=日光史跡探勝路途中に「神馬の碑」が立っています)。
御神馬は、通常は下河原(したがわら/現・日光市安川町)にあった下御厩(しものおうまや)で飼育され、東照宮境内に移されてこの神厩(上御厩かみのおうまや)に繋がれました。
徳川幕府は祝い事の度に神馬を奉納し、常時3頭ほどが飼育されていました。
御神馬の飼育係は、神馬別当・若林家が世襲し、春秋の大祭には神馬の装いをつけ渡御祭に加わったのです。
現在では、昭和52年の「丸泰号」(まるたいごう)に始まり、「光波号」(こうはごう)、「光徳号」(こうとくごう)、「光丸号」(こうまるごう/コーマル=ニュージーランドの先住民族のマオリ語で「守られている」という意味)と4代にわたって、ニュージーランド政府から神馬が寄贈されています(神馬はすべて白馬です)。
厩舎の内部には、現在でも白馬が10:00〜14:00の間、繋がれています。
神厩舎の建物は、絢爛豪華な日光東照宮の社殿では唯一の素木造。
これは、当時の武家の殿舎に用いられた厩(馬屋)の形式です。
現存する唯一の大型の神厩建築遺構で、国の重要文化財に指定されています。
厩内にある青銅製の飼葉桶には葵の紋が付いていることにも注目。
長押の猿の彫刻は人の一生を描いている!
遠方を見るのは、空間としての遠方ではなく、時間としての遠方(子供の将来)。
母親が子供の未来を望む姿で、ビワと朱色の雲は、バラ色で実り豊かな将来を暗示しています。
幼少期には、周囲の影響を受けやすいので、世の悪事は見聞きさせず、悪い言葉を使わせず、良いものだけを与えよという戒め。
孤独に耐えながらこれからの自分の将来を考える一匹の猿。
いよいよ自立する時が訪れます。
希望を胸に上を見上げる青年の猿。
雲は青年の志を表しています。
家康の遺訓「上を見な。身の程を知れ」(上を見るな、身の程をわきまえろという意味を五字七字で表現)という戒めを表しているとも。
左端の猿は背中に手を当てて、慰める、あるいは励ます姿。
右の猿は、正面を凝視しています。
この後、結婚へと繋がります。
日光東照宮・神厩舎 | |
名称 | 日光東照宮・神厩舎/とうしょうぐう・しんきゅうしゃ |
所在地 | 栃木県日光市山内2301 |
関連HP | 日光東照宮公式ホームページ |
電車・バスで | 東武日光駅から東武バス世界遺産めぐりで勝道上人像前下車、徒歩10分 |
ドライブで | 日光宇都宮道路日光ICから約3km |
駐車場 | 100台/有料 |
問い合わせ | 日光東照宮社務所 TEL:0288-54-0560/FAX:0288-54-0061 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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