美馬市の脇町は近世以降、阿波特産の阿波藍(あわあい)と生糸生産で栄えた吉野川中流域にある商家町で「うだつの町並み」。脇町の吉野川に並行して走る南町筋には本瓦葺き、大壁造り、白漆喰塗りの商家が軒を連ね、「うだつ(卯建)」や格子窓などが、往時の商人の勢いを偲ばせており、5.3haが国の重要伝統的建造物群保存地区に指定。
家運の隆盛を示す象徴「うだつ」の上がる町並み
うだつ(卯建)とは隣家との境に2階の壁面から突き出してつくられた袖壁で、隣家の屋根との区切りや防火の役目を果たしたもの。
江戸時代半ばから藍の集散地として栄えた脇町では吉野川の水運を利用して、藍の仲買を業とする大商人の商家が南町筋に建ち並びました。
阿波藍や繭糸業での繁栄を背景に、家運の隆盛を示す象徴としてうだつ(卯建)に家紋を入れたり、豪勢な鬼瓦を乗せたりして栄華を誇ったのです。
うだつ(卯建)のほかにも2階部分に、縦に格子状に開口部を設けた虫籠窓(むしこまど)、格子造り(こうしづくり)、水平に吊り上げて開閉する蔀戸(しとみど)など旧家ならではの建築が随所に残されています。
通りに面した母屋のうち、伝統的な町屋は50戸あり、そのうち22戸が間口四間半(9m)以上の規模を誇っています。
藍の豪商として繁栄した「藍商佐直 吉田家住宅」は、藍の豪商として繁栄した佐川屋直兵衛の屋敷。
一般公開されており、見学が可能です。
田村家は、繭糸業を営む「大谷屋」だった建物で、江戸時代半ばの宝永8年(1711年)築。
往時のままに残る商家は60軒を数え、美しい町並みを形成しています。
脇町周辺には、二層うだつの上がる「つるぎ町貞光」地区、幕末から明治中期にかけて「きざみタバコ」の産地として繁栄した三好市池田町にもうだつの町並みが残されています。
江戸時代中期以降、うだつの袖部分が独立し、装飾性を高めた袖うだつが発達しました。
これが脇町などに残される袖うだつ。
漆喰塗り(しっくいぬり)のうだつを上げるためにはそれなりの費用がかかるため、単に防火だけでなく富の象徴となり、「うだつが上がらない」という言葉を生んだのです。
徳島県美馬市脇町南町のほか、徳島県つるぎ町貞光、岐阜県美濃市美濃町などが「うだつの上がる町並み」として知られています。
うだつの町並み(美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区) | |
名称 | うだつの町並み(美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区)/うだつのまちなみ(みましわきまちみなみまちでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく) |
所在地 | 徳島県美馬市脇町脇町 |
関連HP | 美馬市公式ホームページ |
電車・バスで | JR穴吹駅から町営バス美馬行きで10分、脇町下車、徒歩2分 |
ドライブで | 徳島自動車道脇町ICから約4km |
駐車場 | 町並み観光駐車場(50台/無料)、道の駅藍ランドうだつ駐車場(30台/無料) |
問い合わせ | 美馬市観光課 TEL:0883-52-5610/FAX:0883-52-1704 |
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