鳥取県鳥取市にある国の天然記念物に指定されるのがハマナス自生南限地帯。ハマナスは、日本海側では鳥取県白兎海岸の東部が南限で大正11年3月8日、当時の内務省によって太平洋側の南限地の現・茨城県鹿嶋市とともに国の天然記念物「ハマナス自生南限地帯」に指定されています。開花期は5月末〜6月で北海道よりは少し早めです。
鳥取県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定
バラ科のハマナスは、朝鮮半島からカムチャッカ半島、ベーリング海沿岸にかけて分布する北方系の植物で、北海道では道東・道北の原生花園で群落を成して咲き誇ります。
大正時代、内務省は、温暖な地域に自生する植物の北限、寒冷地域に自生する植物の南限を明確にするため蘇鉄(熱帯性の植物)、ハマナス(寒帯性の植物)の分布調査を全国の都道府県に指示しました。
日本海側では鳥取県の白兎海岸のほか、同じ鳥取県では西伯郡大山町松河原(大山町の下市川河口では自然の転石の中に自生し、昭和58年7月2日に天然記念物に指定)、島根県大田市静門(近藤ヶ浜ハマナス自生地=島根県では西限地としています)にも南限となるハマナス群落が確認されています。
ハマナスは海岸砂丘に自生するため、海岸の開発などで群落が失われつつあり、福島県・新潟県以南の8県で県のレッドリスト種に指定されています(鳥取県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類)。
江戸時代にはヨーロッパに輸出され、バラの品種改良に用いられたりもしたため、デンマークなどの砂丘地帯では侵略的外来種の汚名を着せられています。
鳥取県のハマナス自生南限地帯は、土盛りがされた国道9号のバイパスが自生地と海岸の間に開通したため、内陸側にネザサなどが繁茂してハマナスが減少、逆に道路の海岸側のハマナスが増加したため、昭和58年に指定地の拡大が行なわれています。
白兎海岸を走る国道9号にハマナス自生南限地帯の大きな表示があるので、お見逃しなく(入口にコンビニがあります)。
取材・画像協力/鳥取県
ハマナス自生南限地帯(鳥取市) | |
名称 | ハマナス自生南限地帯(鳥取市)/はまなすじせいなんげんちたい(とっとりし) |
所在地 | 鳥取県鳥取市白兎 |
電車・バスで | JR鳥取駅から日ノ丸または日本交通バス鹿野または青谷行きで35分、白兎神社前下車、徒歩5分 |
ドライブで | 中国自動車道佐用ICから約75km |
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