北前船廻船問屋森家

富山の港町の東岩瀬は、かつて北前船の交易で栄えた港町。大町通り(旧北国街道)に面した北前船廻船問屋森家は、明治11年築の代表的な廻船問屋(商家)で、栄華を極めた往時の面影を残した重厚な建物。建築には3年の歳月を費やしたといわれ、そのうち材料集めに2年をかけたと伝えられています。

北前船で財を築いた森家の贅を尽くした廻船問屋

東岩瀬廻船問屋型町家の典型である森家
座敷、仏間、前座敷などが続く広々とした1階

屋久杉の板戸、能登産黒松の梁(はり)、囲炉裏を飾るロシアの琥珀(こはく)、土間の床に小豆島から運ばれた一枚岩の御影石が敷かれているという贅沢さで、国の重要文化財

森家は廻船問屋の建築にあたり、京の東本願寺を普請した親方を棟梁としてわざわざ呼び寄せています。

地元では北前船のことをバイ船と呼びますが、これは船は往復で「倍もうかる」ことから。
森家は江戸時代には四十物屋(あいもんや)仙右衛門を称し、「千石船、一航海で千両の利益を上げる」という北前船で財を成したのです。
四十物(あいもの)とは塩魚類の総称で、北前船の船主や廻船問屋は四十物屋を名乗ることが多かったのだとか。

囲炉裏の切られた「オイ」が商取引の場

トオリニワ(土間廊下)から眺めた囲炉裏の切られたオイ

囲炉裏の切られた母屋のオイは吹き抜けになっていますが、ここが商取引の場。

館内には四十物屋仙右右衛門の持ち船「清正丸」の船霊(絵馬)も展示されますが、大阪の絵馬屋「絵馬藤」(えんまとう/大阪黒金町)の作品。

土蔵の内蔵の扉に施された鏝絵(こてえ)の虎と龍は、入江長八(伊豆国松崎/1815年〜1889年)の影響を受けた竹内勘吉(小杉町の左官職人=小杉左官/1830年〜1916年)の作品。
北国街道沿いに建ち並ぶ酒商田尻本店などの蔵は、森家土蔵群です。

「北前船回船問屋森家」(国の重要文化財)、国の登録有形文化財「旧馬場家住宅」などは、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落)」の構成資産になっています(全国の北前船寄港地で構成される広域な日本遺産)。

小杉左官の技を見せる鏝絵が土蔵の扉に
持ち船「清正丸」の船霊(絵馬)
北前船廻船問屋森家1階の間取り
北前船廻船問屋森家
名称 北前船廻船問屋森家/きたまえぶねかいせんどんやもりけ
所在地 富山県富山市東岩瀬町108
関連HP 富山市公式ホームページ
電車・バスで 富山地方鉄道富山港線東岩瀬駅から徒歩12分、岩瀬浜駅から徒歩15分
ドライブで 北陸自動車道富山ICから約12km
駐車場 20台/無料
問い合わせ 北前船廻船問屋森家 TEL:076-437-8960
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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