庄川の扇状地に広がる砺波平野で名高いのが散居村(さんきょそん)。富山県砺波市太郎丸にある散居村を紹介するミュージアムがとなみ散居村ミュージアム。散居村とはカイニョと呼ばれる屋敷林に囲まれた家々が100mほどの間隔を空け、1戸~3戸ずつ水田に分散した砺波平野独特の集落です。
散居村を探勝するなら、まずはここへ
「美しい砺波平野全体が博物館」というフィールドミュージアムの発想で、となみ散居村ミュージアムを中核施設に、「となみ野田園空間博物館」には8つの地域拠点施設(サテライト)が築かれ、散居村探勝を楽しむことができます。
となみ散居村ミュージアムは、メイン施設の情報館と、サテライト施設の伝統館と交流館があり「となみ野田園空間博物館」の拠点として平成18年6月にオープン。
情報館は、砺波地方の伝統的家屋となる切妻造り平入りの「マエナガレ様式」をイメージした建物で、散居村の情報を入手することが可能。
伝統館は、切妻造り妻入り「アズマダチ様式」の白壁、「ゲンカ」の土間など大正~昭和初期の建物を忠実に復元したもの。
散居村を一望する場所に「夢の平散居村展望台」がありますが、その場所への行き方も情報館でガイドされているので、まずはここに立ち寄るのが賢明です。
出雲の斐川平野(ひかわへいや)、静岡県の大井川扇状地、岩手県の胆沢平野、北海道の十勝平野などにも散居村風景は見られますが、その完成度、規模からも砺波平野(総戸数7000戸)に勝るものはなく、丘陵から見渡す風景は、まさに絶景。
「となみ野田園空間博物館」にはとなみ散居村ミュージアムのほか、あずまだち高瀬(南砺市井波)、カイニョと椿の森公園「いのくち椿館」(南砺市井口)、二万石用水親水空間、安居大堤ビオトープ、散居村散策の道、法林寺歴史街道、桜ヶ池遊歩道の8ヶ所の地域拠点施設(サテライト)があります。
また砺波市内の散居村の展望台としては、有名な散居村展望台のほか、三条山展望台、鉢伏山山頂など、南砺市では閑乗寺公園、フラワーライン展望台(大鋸屋展望所)、南砺市つくばね森林公園などがあります。
散居村のキーワードは、カイニョ(屋敷林)
散居村は扇状地の開拓を行なうときに、水の確保が容易であることからばらばらに入植し、入植地の周囲を順次開拓した結果、散居村が生まれたというもの。
カイニョと呼ばれる屋敷林は、風雪や夏の強い日差し、砺波平野特有の西風から屋敷を守るため、開拓時にあった原生林の一部を残したもので、「高 (土地)を売ってもカイニョは売るな」と大切に守られたきています。
屋敷林が東を除く三方を取り囲むように茂るのは、季節風の吹く方向から。
植生も高木は風に強いスギやアスナロ、ケヤキ、中低木はカキ、カエデ、ツバキなどが使われ、多彩で、かつては燃料の木、家の補修(ケヤキ、アスナロ、スギ)、娘に持たせるタンスの桐(キリ)もこの屋敷林で賄っていました。
「落ち葉の処理に困るなど、近年は敬遠される傾向にあるカイニョですが、戦前は見合い結婚の際、相手方のカイニョを見て決めました。カイニョが手入れされていれば、その家族は働き者で、用意周到」(地元農家の話)というほどで、その家の暮らしぶりまでもがカイニョから判断されていたのです。
取材・画像協力/砺波市
となみ散居村ミュージアム | |
名称 | となみ散居村ミュージアム/となみさんきょそんみゅーじあむ |
所在地 | 富山県砺波市太郎丸80 |
関連HP | となみ散居村ミュージアム公式ホームページ |
電車・バスで | JR砺波駅から加越能バス庄川方面行きで5分、太郎丸下車、徒歩5分。または、タクシーで5分 |
ドライブで | 北陸自動車道砺波ICから約1.5km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | となみ散居村ミュージアム TEL:0763-34-7180/FAX:0763-34-7182 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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