剱岳

剱岳

富山県の上市町・立山町、北アルプス北部の秀峰が剱岳(つるぎだけ)。標高は2999mで、惜しくも3000m峰ではありませんが、日本第24位の高峰。山頂に三角点を設置するエピソードを描いた新田次郎の山岳小説『劒岳 点の記』でも有名です。

三ノ窓雪渓、小窓雪渓は氷河に認定!

明治40年7月13日、陸軍参謀本部陸地測量部の測量官、柴崎芳太郎(しばざきよしたろう)の率いる測量隊の生田信(いくたのぶ)らが東面の谷(現・長次郎雪渓ルート)から本峰の登頂に成功したのが近代の初登頂。
7月28日には柴崎芳太郎自らも宇治長次郎を案内人に登頂しています。

この測量隊の登頂の際、奈良時代後半から平安時代初期の修験者が奉納したと推測される錆び付いた鉄剣と銅製の錫杖頭を発見、さらに山頂近くの岩屋に焚き火跡もあり、宗教登山者の登拝が確認されています(国の重要文化財に指定される錫杖頭は、立山博物館に収蔵展示)。

もっともポピュラーな登山ルートは、剱澤小屋、剣山荘をベースに、一服剱〜前剱〜本峰と登るものですが、「カニのヨコバイ」、「カニのタテバイ」と呼ばれる鎖場の難所があり、北アルプスの一般登山道では、最難関の部類に入るルートとなっています。

北アルプスでも槍ヶ岳と並ぶ鋭鋒は、最終氷期に発達した氷河に削り取られた氷食尖峰。
山頂東側の三ノ窓にある三ノ窓雪渓、小窓にある小窓雪渓、そして池ノ谷右俣雪渓は、近年、氷体の流動が観測されることから、氷河と認定され、三ノ窓氷河と小窓氷河と呼ばれています。
さらに剱澤小屋、剣山荘のある剱沢の雪渓(剱沢雪渓)は、後立山連峰の白馬大雪渓、針ノ木大雪渓と並び、日本三大雪渓にも数えられています。

立山信仰では、『立山曼荼羅』に「針山地獄」として描かれ、別山などから遥拝する山となっていました。
神仏習合時代には、立山権現(現・雄山神社)の刀尾権現(太刀尾天神剱岳神/本地仏は不動明王)の神体として信仰され、登ることは許されないため、陸軍参謀本部陸地測量部を案内したガイドも、山頂を踏むことをためらったと推測されています。

新田次郎の山岳小説『劒岳 点の記』は、平成21年に測量手・柴崎芳太郎を浅野忠信、山案内人・宇治長次郎を香川照之が演じ、「第33回日本アカデミー賞」などを受賞しています。
登頂の際に登路とした劔岳東面の谷に、長次郎谷、長次郎雪渓としてその名を残しています。

剱岳は、昭和5年の地上写真測量で3003mとされ、長年、日本最北の3000m峰とされていましたが、昭和43年に航空測量で2998mに修正され、平成16年に再度GPS測量などが行なわれ、測量点2998.6 m、三等三角点2997.07mになっています。
剱岳が3000m峰でなくなったため、日本最北の3000mは立山・大汝山(3015m)となっています。

剱岳
名称 剱岳/つるぎだけ
所在地 富山県中新川郡立山町芦峅寺
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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