日本全国には111の活火山がありますが、そのうち関東の内陸部にある活火山は9山。噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に発表するために観測機器を設置する「常時観測火山」は那須岳、日光白根山、草津白根山、浅間山、箱根山の5火山です。噴火予報のレベルも紹介していますが2025年2月6日現在の予報です。
燧ヶ岳|福島県・群馬県・新潟県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:尾瀬沼から見上げる尾瀬のシンボル
比高700m、山頂に直径800mの火口を有する円錐形の成層火山
尾瀬沼は岩屑なだれの発生で誕生
火山の歴史:15~20万年前に活動を開始、その後、複数回のマグマ噴火の痕跡がありますが、有史以来は一度の水蒸気噴火のみで、それが最後の噴火となる天文13年(1544年)で、噴火の直前に山頂部の御池岳溶岩ドームが形成(噴火場所は御池岳)
那須岳|栃木県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:那須火山は関東平野北端の関谷断層に沿って南北に連なる成層火山群
主峰の那須岳は茶臼岳と呼ばれ、ロープウェイが架かっています
那須岳西斜面の2つの爆裂火口内では活発な噴気活動が継続
火山の歴史:火山群は北部から50万年前に活動が始まり、那須岳はもっとも新しく1万6000年前に火山活動を開始したという新しい火山
応永15年〜17年(1408年〜1410年)に中規模な水蒸気噴火・マグマ噴火(死者180余名)、以降水蒸気噴火4回(直近は昭和38年)
高原山|栃木県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:カルデラ火山(塩原火山)とその中央火口丘(明神岳、前黒山 )、さらに南部の円錐火山(釈迦岳火山=釈迦ヶ岳、西平岳、鶏頂山、剣が峰)からなる成層火山
富士山近くの新湯では噴気活動があります
火山の歴史:50万年前に開始し、10万年前頃にはおもな活動を終止
6500年前に北側で割れ目噴火が発生し、割れ目火口の上に富士山溶岩ドームを形成
日光白根山|栃木県・群馬県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:高さ300mの溶岩ドームと厚い溶岩流からなる安山岩・デイサイト火山
厚い溶岩流の上に主峰の白根山(奥白根)などの溶岩ドームが形成されています
中腹までロープウェイで到達できます
火山の歴史:慶安2年(1649年)、白根山頂火口で中規模な水蒸気噴火、明治時代に3回水蒸気噴火
赤城山|群馬県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:底面の径25kmの大型の成層火山で、成層火山の山上に南北4km、東西3kmの山頂カルデラが形成されたもの
山頂の赤城大沼はカルデラ湖(火口原湖)
火山の歴史:成層火山を形成後に、山頂カルデラが誕生、さらに4万年〜4万5000年前にカルデラ内に小沼・地蔵岳・見晴山などのデイサイト溶岩ドーム、小沼タフリングが形成
活発な火山活動は2万4000 年前に終了
鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』に建長3年(1251年)の噴火が記録されていますが、噴出物が発見されないことから山火事の可能性も
榛名山|群馬県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:底面の直径20kmという大型の複成火山で、山頂部に2km×3kmの小型のカルデラを形成、箱庭的な美しさを醸しています
カルデラ中央の榛名富士は溶岩ドーム、東の二ツ岳も溶岩ドームで山麓には伊香保温泉が湧いていますが、噴気などはありません
火山の歴史:1万年前に山体の東部で山体崩壊があり、直後に水沢溶岩ドームを形成、6世紀中頃までに二ッ岳で3回の噴火を数えています
草津白根山|群馬県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:第三紀火山岩からなる基盤山地上に、非対称に成長した成層火山
西端部の最高所付近に白根山・逢ノ峰・本白根山の火砕丘群が南北に並び、白根山には水釜、湯釜、涸釜という火口湖が存在
湯釜火口から500mの範囲では、ごく小規模な火山灰等の噴出の可能性があり、立入禁止
周辺のくぼ地や谷地形などでは高濃度の火山ガスが滞留する危険性も
本白根山火口付近では、火山灰などの噴出に注意
火山の歴史:香草(かくさ)溶岩の噴出が8500年前、殺生(せっしょう)溶岩の噴火が3000年前で以降も小規模な噴火を繰り返しています(近年の噴火活動はすべて水蒸気爆発)
浅間山|群馬県・長野県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル2(火口周辺規制)
内容:成層火山の黒斑(くろふ)火山、仏岩火山が形成後に前掛火山が活動を開始、山頂部の釜山山頂火口(500m×440m)は現在も活動中
山頂火口から2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に警戒する必要があり、立入禁止になっています
火山の歴史:有史以降数十回の火山活動はすべて山頂噴火で、爆発型(ブルカノ式)噴火が特徴で、火砕流を起こしやすいという危険性を有しています
大規模噴火は天明3年(1783年)の噴火で日本のポンペイという鎌原火砕流、そして鬼押出し溶岩流を発生(死者1151名、流失家屋1061棟)
昭和48年には中規模なマグマ噴火がありました
箱根山|神奈川県・静岡県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:東西8km、南北12kmのカルデラ火山で、成層火山の神山や駒ヶ岳、二子山などの溶岩ドーム群は中央火口丘
主峰の神山の北側に活発な噴気地帯である大涌谷と早雲山があり、駒ヶ岳東麓にも湯の花沢・硫黄山噴気地帯を有しています
大涌谷周辺の想定火口域では、活発な噴気活動が続いています
火山の歴史:有史以来、噴火の記録はありませんが、8000年前の神山山頂付近の噴火、5700年前の二子山溶岩ドームの噴火はマグマ噴火です
3200年前の神山のマグマ噴火は、神山の北側が山体崩壊し、冠ヶ岳(溶岩ドーム)が形成、山体崩壊により岩屑なだれが発生し、早川を堰き止めて芦ノ湖が誕生しています
大涌谷では過去にも水蒸気爆発があったことがわかっています
噴火の危険は!? 関東(内陸部)にある活火山9山をチェック | |
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