熊野速玉大社

熊野速玉大社

和歌山県新宮市にある、神仏習合の熊野十二所権現を祀り、熊野信仰の中枢を担う熊野三山のひとつが、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)。「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)の一部となっています。

「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録

熊野速玉大社

新宮と呼ばれていますが、これは神倉山から熊野川沿いの現在地に遷座したため、旧社地の神倉山(元宮)に対する呼称。

主祭神は、神倉山の磐座(いわくら)・ゴトビキ岩(現・神倉神社)に降り立ったという熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)。
熊野と吉野を結ぶ大峯奥駈道は、本宮大社(本宮証誠殿)から柳の宿(やなぎのしゅく/奈良県吉野郡吉野町・柳の渡し)まで、75の靡(なびき)がありますが、熊野からは第1・本宮大社(本宮証誠殿)、第2・那智山(熊野那智大社)、第3・新宮(熊野速玉大社)、第4・吹越山と続きます。

熊野信仰の隆盛とともに、神仏習合の熊野三所権現(10世紀中頃/熊野夫須美大神・千手観音、熊野速玉大神・薬師如来、家津美御子大神・阿弥陀如来)、熊野十二所権現(11世紀)として祀られて本地仏が定められ、鳥羽上皇、後白河法皇、後鳥羽上皇など皇族の熊野詣の対象になったのです。
熊野速玉大神の本地仏は薬師如来、熊野夫須美大神が千手観音というように、12の祭神に12の本地仏があるという神仏習合が明治維新まで続いています。

神社に伝わる古神宝類、木造熊野速玉大神坐像、木造夫須美大神坐像、木造家津御子大神坐像、木造国常立命坐像は国宝。
木造伊邪那岐神坐像、木造伊邪那美神坐像、木造皇太神坐像などは国の重要文化財に指定。
10月15日〜10月16日に行なわれる例大祭『熊野速玉大祭』は、『新宮の速玉祭・御燈祭り』として、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

熊野速玉大社の速玉大神を祀る朱塗りの社殿は火災などで焼失し、昭和に入って再建されたもの。
切妻正面に庇を付けた独特の熊野造で、前に礼殿が建っています。

熊野速玉大社

御神符「熊野牛王宝印」の授与も

熊野速玉大社

神宝館前の参道にそびえるナギの太樹は、幹周り6m、高さ20mもの巨木。
樹齢は約1000年ともいわれ、平重盛のお手植えとも伝わり、「熊野速玉神社のナギ」として国の天然記念物に指定されています。

境内にはほかに40本のナギの木があり、その種を使ったナギ人形は、ナギは凪(なぎ)に通じ、悪運をなぎ倒すことから、縁結びや夫婦円満にご利益があるとか。

烏文字(からすもじ)で書かれた熊野三山(本宮「熊野山宝印」、那智大社「那智瀧宝印」、新宮「熊野山宝印」)特有の御神符「熊野牛王宝印」(くまのごおうほういん)は、熊野ではもっとも神聖視された厄除けの護符。
昔ながらに木版で手刷された護符こそが、熊野宝印。
人々をあらゆる災厄から守護するというありがたい護符となっています。

また駐車場の横には新宮出身の詩人、佐藤春夫の東京の旧宅を移築した「佐藤春夫記念館」も建っています。

神仏習合の熊野十二所権現とは!?

社殿名祭神本地仏
上四社・第一殿/西御前(結宮)熊野夫須美大神(伊弉冊尊)/三所権現千手観音
上四社・第二殿/中御前(速玉宮)熊野速玉大神(伊弉諾尊)/三所権現薬師如来
上四社・第三殿/証誠殿家津美御子大神(素戔鳴尊)/三所権現阿弥陀如来
上四社・第四殿/若宮天照大神/五所王子十一面観音
中四社・第五殿/禅師宮忍穂耳尊/五所王子地蔵菩薩
中四社・第六殿/聖宮瓊々杵尊/五所王子龍樹菩薩
中四社・第七殿/児宮彦火火出見尊/五所王子如意輪観音
中四社・第八殿/子守宮鵜葺草葺不合命/五所王子聖観音
下四社・第九殿/一万宮・十万宮国狭槌尊・豊斟淳尊/四所明神文殊菩薩・普賢菩薩
下四社・第十殿/勧請十五所泥土煮尊/四所明神釈迦如来
下四社・十一殿/飛行夜叉大戸道尊/四所明神不動明王
下四社・十二殿/米持金剛面足尊/四所明神毘沙門天
熊野速玉大社
名称 熊野速玉大社/くまのはやたまたいしゃ
所在地 和歌山県新宮市新宮1
関連HP 熊野速玉大社公式ホームページ
電車・バスで JR新宮駅から徒歩15分
ドライブで 阪和自動車道南紀田辺ICから約88km
駐車場 30台/無料
問い合わせ 熊野速玉大社 TEL:0735-22-2533/FAX:0735-23-1560
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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