【知床・羅臼発】知床で確実にクジラを見る方法は?

羅臼・マッコウクジラ

日本広しといえども、知床・羅臼(根室海峡)ほど、クジラを手軽に観察できる場所はありません。それでも100%といかないのが、自然相手。「これだけはどうしょうもない」というのが羅臼港を基地とするアルラン3世の高橋幸雄船長の話。とはいえ諦めるのはまだ早い。少しでも遭遇確率を上げる工夫をしましょう。

(1)まずは、根室海峡の構造を知ろう

どうして知床にマッコウクジラなどの鯨類がやってくるのか。これをまずは知っておこう。「クジラ観察」で知床の世界遺産を学ぶ(Whale-watching programs)をまずは読んで頂き、世界自然遺産に登録された最大の理由を理解してください。

どうしてこれが、遭遇率のアップにつながるかといえば、マッコウクジラのおもな食性は、ヤリイカやダイオウイカなどイカ類。さらにはスケソウダラやメヌケなどの深海魚。

つまり「羅臼漁港に全国からイカ釣り船が集まるような時季は、マッコウクジラにしてもイカ食べ放題のチャンス!」というわけなのです。

羅臼漁港が賑やかなときは、マッコウクジラの遭遇率もアップというのは当たり前の定義なのです。
羅臼漁港にも漁業関係車両に留意しながら、そっとのぞいてみましょう。
観光船乗り場の横から見学も可能です。

羅臼漁港
羅臼漁港

(2)事前に「クジラの見える丘」でどんな感じなのか確認する

平成20年から羅臼では長崎大学がマッコウクジラなど鯨類の研究を行なっています。
お盆を中心とした夏休みに限定されますが、この長崎大学が来ている時期はイコール、マッコウクジラが出没している証(あかし)でもあるのです。
研究員が船に乗り、マッコウクジラの尾びれを確認して個体識別も行なわれています。
また観光船に乗った研究スタッフは、停船時に水中マイクでマッコウクジラが近くにいるかどうかを確認しています。

さらにスゴいのが、地上からの連絡。
実は、日の出から日没まで、「クジラの見える丘」に陣取った研究スタッフは、双眼鏡を手に「はい、ブロウ!」などと言いながら、マッコウクジラの潮吹きのポイントを記録しています。

マッコウクジラはいったん尾びれを上げて水中に潜ると30分以上は浮上しません。
逆にいえば、いったんダイブしても、30分ほど待てば、その近くに浮上するというワケなのです。

時間と位置を地上で記録しておけば、およその出没地点と出没時間が判明。
「クジラの見える丘」の研究員と、船に乗船しているスタッフの連携があれば鬼に金棒。

クジラの見える丘は、羅臼市街(羅臼港)から相泊方面へ道道を走り、ざいもく岩トンネル(材木岩)を抜けたらすぐに鋭角に左折し、細い山道を羅臼灯台方面に登った場所にあります(対向車に注意)。

クジラの見える丘

つまり「モグラたたきのようにマッコウクジラを観察できる」というわけなのです

というわけで、乗船目的で知床に行ったなら、ぜひ乗船前に「クジラの見える丘」に行って、「クジラで出ますか?」と研究者に確認してみましょう。「今日はガスでなんも見えないよ」なんていう日は要注意日(イチかバチかの日)だからです。

(3)できれば羅臼滞在で確率アップしよう

アルラン3世号の高橋幸雄船長や、エバーグリーンの長谷川正人船長が嘆くのは、「クジラは確実にいるんだけれど、見つけられないのさー」という状況。

どんな状況下といえば、ガス(海霧)がかかって視界が悪い日、波が高くクジラの潮吹きが見つけづらい日、さらに気象条件が悪く出航できない日、そして稀に大型の船が根室海峡に入っているとき(クジラはスクリュー音で聞き慣れない音を警戒するのだとか。逆に観光船のスクリュー音は聞き慣れているので警戒されないので近寄ることができるのです)。

羅臼は成熟、もしくはそれに近い巨大な雄(オス)が群れを成し、ツチクジラなど深海性の鯨類が陸上からの観察が可能なほど陸に接近するという点で世界的にも希少な地。
知床半島を逆さにしたような根室海峡は、海岸から一気に深海へと潜っているので、陸近くにマッコウクジラが出没するのです。

「運がいいときには港から15分くらいでマッコウに遭遇することも」(高橋幸雄船長)とか。
そんな世界的にも希少な地なのですから、「ウトロに泊まって午前便に乗る」なんてプランは避けた方がいいのです。

つまり「最低でも連泊してもらえればな」というわけなのです

(4)最低でも羅臼連泊、午後は羅臼湖など山へ

おすすめのプランは、羅臼に連泊して、宿の人に波の状況や前日の鯨の出没状況を確認すること。
「羅臼の宿まるみ」は、観光船アルラン3世を運航しているので、宿と観光船のセット割引もあり、ちょっぴりお得。
さらに最新の出没状況が確認できるのです。

つまり「午前は海へ、午後は山へだ世界遺産を満喫」というわけなのです。

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