富士北麓、山梨県富士河口湖町、鳴沢村に広がる広大な針葉樹の樹海が青木ヶ原樹海。平安時代初期の貞観6年(864年)〜貞観8年(866年)、富士山の貞観大噴火(じょうがんだいふんか)で、長尾山の大噴火(割れ目噴火)による溶岩流の岩海が、時を経て、苔を生じ、草や樹木が生えて、現在の樹海が形成されたもの。
散策は氷穴〜風穴、野鳥の森公園〜蝙蝠穴を
貞観大噴火の長尾溶岩流は、山麓にあった湖・剗の海(せのうみ)を分断。
残された部分が西湖と精進湖です(ボーリング調査などの結果、富岳風穴北側あたり、現在の国道139号が剗の海の湖岸=南岸だったことが判明しています)。
青木ヶ原樹海は、ヒノキとツガを中心に、ハリモミ、ヒメコマツ、アカマツなどの針葉樹やミズナラなどの広葉樹の混合林で、富士箱根伊豆国立公園の特別保護地区になっています。
40キロ平方メートルにもおよぶ広大な樹海には、多数の溶岩洞穴が存在するといわれ、富岳風穴、鳴沢氷穴、西湖蝙蝠穴(さいここうもりあな)など、照明完備で気軽に探検気分を味わえる観光洞窟も整備されています。
しかし樹海には天然の落とし穴が無数にあり、「迷ったら二度と出られない」とも。
散策は必ず散策路で。
最も手軽な樹海散策は、富岳風穴と鳴沢氷穴を結ぶ探勝路で徒歩30分。
この散策路は、東海自然歩道「樹海コース」の一部なので迷うことはありません。
もうひとつが、西湖野鳥の森公園と西湖蝙蝠穴を結ぶ「樹海遊歩道」で、こちらは徒歩40分。
松本清張の長編小説『波の塔』(昭和34年〜昭和35年、『女性自身』連載、昭和35年に有馬稲子、津川雅彦主演で映画化)で一躍注目を浴びるようになった青木ヶ原樹海。
「この中に迷い込むと、死体も発見できない。頼子はユースホステルの建物を出た。彼女は坂道を登った。一方は湖畔だが、一方は樹海の端だった」 (『波の塔』)。
このフレーズや映画から「一度迷い込むと、二度と出られない」というイメージが定着したのです。
ユースホステルというのは富士西湖ユースホステル(廃業)。
世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の富士山の一部になっています。
樹海では磁石が役に立たない!?
溶岩(マグマ)には、磁鉄鉱などの磁気を帯びやすい鉱物が含まれ、冷えて固まる際、地磁気の影響により磁力を持って自らが弱い磁石となります(残留磁気)。
実際に、磁石を手に樹海に入ると、「磁石がまったく役に立たない」というのは俗説で、1度〜2度ほどの狂いが生じるだけです。
むしろ、原生林の林床、苔むした溶岩の陰に溶岩洞穴など隠れているため、遊歩道を外れると非常に危険。
とくに子供連れの場合は、目を離さないよう注意が必要です。
青木ヶ原樹海 | |
名称 | 青木ヶ原樹海/あおきがはらじゅかい |
所在地 | 山梨県南都留郡富士河口湖町精進・鳴沢村鳴沢 |
関連HP | 富士河口湖町公式ホームページ |
電車・バスで | 富士急行線河口湖駅から富士急行バス本栖湖方面行きで28分、風穴下車 |
ドライブで | 中央自動車道河口湖ICから約17km |
駐車場 | 風穴駐車場(130台/無料) |
問い合わせ | 富士河口湖観光総合案内所 TEL:0555-72-6700/鳴沢村観光協会 TEL:0555-85-3900 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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