御油の松並木

『東海道中膝栗毛』の中で、弥次さん喜多さんがキツネに化かされたという松並木が愛知県豊川市御油町にある御油の松並木。旧東海道・御油宿から赤坂宿の間は600mにわたって松の大木が立ち並んでいます。旧東海道の中で唯一、国の天然記念物に指定される松並木となっています。

『東海道中膝栗毛』にも登場の東海道の名所

旧東海道・御油の松並木は、徳川幕府の道路対策として1604(慶長9)年から11年の歳月をかけて650本のクロマツが植栽されたもの。

徳川家康の命を受けた所務奉行(後の勘定奉行)の大久保長安(おおくぼながやす)が植えたもの。
大久保長安は武田信玄・勝頼に仕えましたが、武田氏滅亡後は家康配下として全国の金銀山の統轄や街道整備などに活躍しています。

この松並木、藩政時代には幕府によって厳しく管理されていました。
太平洋戦争中にも、全国各地の松が軍需資材として切り倒される中、「東海道ノ松並木トシテ代表的ナモノナリ」(昭和19年11月7日に国の天然記念物の指定)として重視され、伐採を免れたのです。

現在、かつての東海道は県道374号(長沢国府線)となっており、拡幅されず街道時代の幅員のままですが生活道路(大型車両の通行は禁止)として車の往来も多く、排気ガスによる松の枯れ死が問題となっています。

1752(宝暦2)年の記録では667本あった松は、御油松並木愛護会の尽力があるものの、平成13年度の調査では287本に減少。
平成29年2月の調査で、新たに植えたものを加えて304本になっています。

平成25年には豊川市制70周年記念事業の一つとして松並木と音羽川の間に御油松並木公園が開園。

広重『五十三次名所図会』御油
旧東海道を散策
江戸から数えて35番目の宿場が御油。
東三河には東から二川宿、吉田宿、御油宿、赤坂宿の4宿がありますが御油宿と赤坂宿の間は16町(約1.7km)しかなく、東海道の宿場間では一番短い距離。
その間に松並木が現存しており、隣の赤坂宿には旅籠の大橋屋も残っているので散策にも絶好です。
名鉄名古屋本線が東海道に並行して比較的近くを走っているので、名鉄電車を利用してのハイキングも可能です。
御油駅から名電赤坂駅間なら、のんびり歩いても2km、40分ほど。
歩き足りない場合には、名電長沢駅まで足をのばしても5km、1時間30分ほどの行程。
ちなみに名電は、名古屋電気鉄道(名鉄の前身)の略。
赤坂宿に現存する旅籠「大橋屋」
御油の松並木
名称 御油の松並木/ごゆのまつなみき
所在地 愛知県豊川市御油町美世賜・並松
関連HP 豊川市観光協会公式ホームページ
電車・バスで 名鉄名古屋本線御油駅から徒歩10分
ドライブで 東名高速道路音羽蒲郡ICから約3km
駐車場 御油の松並木駐車場(22台/無料)
問い合わせ 豊川市観光協会 TEL:0533-89-2206/FAX:0533-89-2276
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

御油の家並み

2017年12月10日

御油の松並木資料館

2017年12月10日

 

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