鋼索鉄道(ケーブルカー)、案内軌条式鉄道(新交通システム)、懸垂式鉄道(モノレール) 跨座式鉄道(モノレール) など、鉄道事業法で「鉄道」と定められたなかで、日本一短い鉄道は、事業母体はお寺です。それが京都市左京区で、宗教法人鞍馬寺が運行しているケーブルカー、鞍馬山鋼索鉄道です。
運賃は無料ですが、乗車にあたっては「ケーブル寄進」を
実延長は191m、営業キロは0.2kmという短さで、山門駅と多宝塔駅を2分ほどで結んでいます。
2駅間の高低差は89mで、短いながらも499‰(パーミル=1000mの距離に換算した高度差)、26度という急勾配で、境内を登っています。
昭和32年1月1日に開業した歴史ある路線で、当時から現在まで「日本一短い鉄道」であり続けています。
しかも開業から現在まで鉄道事業法による許可を受けた鉄道では唯一の「運賃無料」。
実際には、鞍馬寺に「ケーブル寄進」片道200円(小学生以下は100円)を寄付する必要がありますが、運賃をとると営利事業とみなされるため、志納という形で、寄付金を維持管理や諸堂の整備費に使っているのです。
山門駅も正式名は、ケーブル普明殿という堂宇のひとつで、よく見ると智慧の光を象徴する毘沙門天像が奉安されています。
鞍馬山のHPにも「鞍馬山ケーブルは、足の弱い方や年配の方が少しでも楽に参拝できるように敷設されたもので営利事業ではありません。そこで運賃を戴くのではなく、鞍馬山内の堂舎維持にご協力いただいた方に、そのお礼としてケーブルを利用していただくということになっています」と明記され、あくまで寄進者に対してのお礼という形で乗車が認められるもの。
鞍馬寺は、「大いなる自然の循環を妨げないように」と、参拝者の安全を確保したうえで、地道のままにし、倒木は、できるだけそのままにしていますが、これは山自体を尊天(宇宙の大霊であり大光明・大活動体=宇宙生命・ 宇宙エネルギー)の御身体と考え、霊気を身体中で吸い込むためにも、健康で歩ける人はなるべく歩いて山上の本殿金堂へと向かうことを勧めています。
もう少し詳しく解説すれば、月に代表される水の氣は、月輪の精霊で、千手観世音菩薩。
太陽から放たれる氣が太陽の精霊で毘沙門天王、地球の氣が大地の霊王・護法魔王尊でこの三身を一体として「尊天」と称しているのです。
つまり、歩いて登拝することで、鞍馬山の氣を取り入れ、「月のように美しく、太陽のように暖かく、 大地のように力強く」と祈り、 「すべては尊天にてまします」とお唱えするというわけなのです。
日本一短い鉄道には、鉄道ファンならずともぜひ乗りたいものですが、「健康なら氣を取り入れるために歩きなさい」というのが鞍馬寺の教え。
迷うところですが、多くの人は見るだけで歩くようなので、足腰の弱った人や病後の人に同伴して、あるいは、妊婦の安産祈願に同行などで乗車する人が多いとのこと。
機会があれば、ぜひ一度乗車を。
日本一短い鉄道は、お寺が経営! | |
所在地 | 京都府京都市左京区鞍馬本町1074 |
場所 | 鞍馬山ケーブル |
関連HP | 鞍馬寺公式ホームページ |
電車・バスで | 叡山電鉄鞍馬線鞍馬駅から徒歩5分 |
ドライブで | 名神高速道路京都南ICから約20km |
駐車場 | 仁王門周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 鞍馬寺 TEL:075-741-2003 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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