福岡県福岡市西区周船寺の高祖山(たかすやま)から北に伸びる丘陵先端に築かれた墳丘長84.6mの前方後円墳が、丸隈山古墳(まるくまやまこふん)。山の鼻1号墳、若八幡宮古墳、兜塚古墳などとともに今宿平野に築かれた今宿古墳群を構成する古墳で、国の史跡。福岡市内では、最大規模の前方後円墳です。
石室から副葬品の仿製鏡2面が出土
今宿古墳群の1基で、古墳時代中期(5世紀前半)の築造。
墳丘は三段築成で、斜面には葺石が配され、段のテラスに円筒埴輪が並んでいました。
元禄元年(1688年)、福岡藩が儒学者・貝原益軒(かいばらえきけん)に命じて編纂した『筑前国続風土記』(ちくぜんのくにぞくふどき)には、寛永6年(1629年)に村民によって発掘され、銅鏡、刀、鉄鏃などが出土したことが記録されています。
発掘調査でも横穴式石室からは鏡や巴形銅器、勾玉、鉄刀などの副葬品が出土。
現在では入口に設けられた格子越しに石室の内部を見学することができます。
内面には赤色顔料が塗られ、古墳時代初期の特徴を備えた石室です(現在の石室は昭和2年の復元)。
丸隈山古墳から出土した2面の鏡は日本で製造されたと推測される仿製鏡(ぼうせいきょう)ですが、大型の仿製鏡は沖ノ島祭祀遺跡を除くと北部九州ではほとんど出土していません(古墳時代の仿製鏡の大半は、中国鏡を忠実に模倣しながら畿内で製造)。
朝鮮半島と交流しながら、ヤマト王権とも密な関係を有した今宿平野全体を掌握した首長の墓だと推測できます。
今宿古墳群(大塚古墳、丸隈山古墳、山の鼻1号墳、飯氏二塚古墳、兜塚古墳、鋤崎古墳、若八幡宮古墳)は、横穴式石室を日本で最初に墓室として導入した古墳群で、4世紀〜6世紀にかけて前方後円墳が継続して築造されるという、全国的に見ても珍しい古墳群です。
しかも福岡市教育委員会の調査によれば、古墳の総数は三百数十基(うち11基が前方後円墳)。
古墳時代には高祖山の麓は、古墳がズラリと並ぶ壮観な景色が広がっていたと推測できます。
丸隈山古墳 | |
名称 | 丸隈山古墳/まるくまやまこふん |
所在地 | 福岡県福岡市西区周船寺 |
関連HP | 福岡市公式ホームページ |
電車・バスで | JR周船寺駅から徒歩10分 |
駐車場 | なし |
問い合わせ | 福岡市経済観光文化局文化財活用部文化財活用課 TEL:092-711-4666 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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