岐阜県土岐市、美濃桃山陶の名品を焼いた窯として知られる国指定史跡・元屋敷陶器窯跡から出土した志野や織部などの桃山陶(国の重要文化財)を中心に、美濃焼の歴史を物語る数々の焼き物を展示したミュージアムが、美濃陶磁歴史館。市内の主要古窯からの出土品約10万点を収蔵展示しています。
美濃焼の歴史を物語る数々の陶器、陶磁器を展示
現在も東濃地方は、日本最大の陶磁器生産拠点で、なかでも土岐市は陶磁器生産量の日本一を誇っています。
16世紀、織田信長の経済政策により、瀬戸周辺の丘陵地帯の陶工たちが美濃に移り、大窯を築いたのが発展の始まり(当時は陶器生産)。
元屋敷陶器窯(もとやしきとうきかま)を中心とする窯では、志野焼、瀬戸黒、黄瀬戸などの名品(美濃桃山陶)を生み出し、京・大坂などの消費地へ運ばれ、茶人に珍重されていました。
なかでも茶人でもあり、山田芳裕の漫画『へうげもの』の主人公としても注目された古田織部(ふるたおりべ)が創意工夫を凝らした「織部好み」は有名。
安土桃山時代、美濃は日本最大の焼物(陶器)エリアとして君臨し、当時の技術の粋を集めた大窯や連房式登窯で生産された陶器は全国へと出荷されたのです。
江戸時代になると、窯体構造は大窯から連房式登窯となり、志野焼に加えて織部焼の優品も生まれ、「黄瀬戸・志野・織部」が美濃焼の代名詞となったのです。
茶道具の他に日用雑器を大量に生産、全国に出荷されました。
江戸時代後期には、陶器より硬くて白い磁器が登場。
陶石(とうせき)と呼ばれる原料を使用する九州の磁器に対して、瀬戸や美濃では蛙目粘土(がいろめねんど)に長石や珪石(けいせき)を混ぜ込んだ土で、染付磁器を焼き、明治時代には銅版転写などの技法で量産し、海外への輸出品にもなったのです。
国指定史跡・元屋敷陶器窯跡一帯は、織部の里公園として整備され、岐阜県内最古の連房式登窯が現存しています。
美濃陶磁歴史館 | |
名称 | 美濃陶磁歴史館/みのとうじれきしかん |
所在地 | 岐阜県土岐市泉町久尻1263 |
関連HP | 美濃陶磁歴史館 |
電車・バスで | JR土岐市駅から徒歩10分 |
ドライブで | 中央自動車道土岐ICから約2km。または、東海環状自動車道土岐南多治見ICから約5.5km |
駐車場 | 文化会館駐車場(50台/無料) |
問い合わせ | 美濃陶磁歴史館 TEL:0572-55-1245 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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