奈良公園

奈良公園

奈良県奈良市、若草山の山麓に明治13年に造られた東西4km、南北2km、660haにおよぶ広大な都市公園。奈良市街の東方、興福寺・東大寺・春日大社・国立博物館一帯から、さらにその東に広がる春日山原始林までを含む広域の公園。美しい芝生と樹齢1000年の松木立におおわれ、春日大社の神使とされる1200頭の鹿が群れ遊ぶことで有名です。

廃仏毀釈がもたらした鹿が遊ぶ公園

明治13年2月14日開園の奈良公園。
明治初年の神仏分離、廃仏毀釈までは興福寺の境内地だった場所も含まれています(廃仏毀釈で境内地を明治政府が没収し、公園に/上野寛永寺境内地が上野公園になったのと同様です)。

都市公園部分502haの正式名は奈良県立都市公園奈良公園(若草山も公園内です)で、通常は興福寺、東大寺、春日大社、奈良国立博物館などの周辺エリアを含めて奈良公園と呼ばれています。
春には桜が花咲き、「日本さくら名所100選」にも選定。

「鹿が神使」なのは、平城京守護のために創建された春日大社の主祭神で藤原氏が鹿島神宮から勧請した武甕槌命(たけみかづちのみこと=藤原氏守護神・鹿島神)が白鹿に乗ってきたとされることから。
平安時代に貴族や武家が春日信仰が深まり、「鹿が神使」であることが重要視されて大切に扱われるようになったのです。

室町時代に初出の「南都八景」にも春日野鹿が入っているので、すでに多くの鹿が闊歩していたことが想像できます。
5月~7月は鹿の出産期、9月~11月は発情期となるためあまり近づかない方が無難。

また、春日信仰では春日社・興福寺を中心とした春日野の景観そのものが信仰の対象で、春日権現は慈悲深い神様で、春日社に縁のあった人は、罪があっても通常の地獄には落とされることなく、 春日野の下に地獄を構えて、罪人に水を注がれてその苦しみを和らげることができると信じられていました(『春日権現験記絵』)。

美しい春日の景観を保った奈良公園には、登大路園地、浅茅ヶ原園地、荒池園地、浮雲園地、春日野園地、猿沢池園地など美しい園地も配されています。

また世界遺産の春日山原始林を歩く春日山遊歩道や飛火野(とびひの)、雪消ノ沢(ゆきげのさわ)など万葉集に歌われた小道が今も残り、のんびりと散策するのもおすすめです。

有名な『鹿寄せ』は、ナチュラルホルンの音色で鹿を呼び寄せる、奈良の風物詩で、明治25年、鹿園竣工奉告祭でラッパを使って行なわれたのが始まり。
『冬の奈良大和路キャンペーン』などイベント時に行なわれるほかは、予約(有料)で実施されています。

奈良公園
名称 奈良公園/ならこうえん
所在地 奈良県奈良市春日野町
関連HP 奈良公園公式ホームページ
電車・バスで 近鉄奈良線・JR奈良駅から奈良交通バス市内循環で4~7分、春日大社表参道、または大仏殿・春日大社前下車、徒歩10分、または奈良交通バス春日大社本殿行きで7~10分、終点下車、徒歩15分
ドライブで 名阪国道天理ICから約7.8km
駐車場 奈良登大路自動車駐車場(275台/有料)
問い合わせ 奈良公園事務所 TEL:0742-22-0375
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
鹿寄せ

冬の奈良大和路キャンペーン『鹿寄せ』|奈良市|2024

2024年1月6日(土)〜2月25日(日)の 土・日曜、祝日10:00〜、奈良市の奈良公園・飛火野(春日大社参道南側)で『鹿寄せ』が行なわれます。明治25年9月25日、鹿園竣工奉告祭にラッパを使って鹿寄せを実施したのが始まりという奈良の冬の

興福寺

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春日大社

全国3000におよぶ春日神社の総本社が奈良の春日大社。710(和銅3)年、藤原不比等(ひじわらのふひと)が平城京鎮護のため、鹿島神宮から武甕槌命(たけみかづちのみこと=鹿島神)の分霊を勧請し、御蓋山(みかさやま=春日山)に祀ったのが始まりと

東大寺

728(神亀4)年、聖武天皇が皇太子である基親王(もといしんのう)供養のため建立した金鍾山寺(きんしょうさんじ)が東大寺の始まり。741(天平13)年に聖武天皇が国分寺建立の詔を出した際に、金鍾山寺を大和国分寺として金光明寺(きんこうみょう

春日大社神苑 萬葉植物園

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