生田神社

生田神社

兵庫県神戸市にある「神戸」という地名の語源となった古社が生田神社(いくたじんじゃ)。平安時代編纂の『延喜式神名帳』にも記載の古社で、神功皇后の三韓外征の帰途、神戸沖で船が進まなくなり、占いを行なったところ稚日女尊(わかひるめのみこと)が現れ、生田の地に祀るように神託があったと『日本書紀』に記されています。

縁結びの社としても有名

『日本書紀』に、神功(じんぐう)皇后が椎日女尊(わかひるめのみこと)を活田長峡(いくたながお)の地に祀ったという記事があり、これが生田神社
当初は布引山(現在の新神戸駅の奥にある山)に鎮座していましたが、延暦18年(799年)に生田に遷されています。
源平合戦の際には平家の東の砦となり、さらに足利尊氏(あしかがたかうじ)と新田義貞(にったよしさだ)・楠木正成(くすのきまさしげ)が対峙した湊川の戦いの戦地としても知られています。
古代から中世には現在の神戸市中央区の一帯が社領だったため、神社の祭祀を維持するために神社に付属した民戸を意味する神戸(かんべ・じんこ)が神戸(こうべ)という地名のルーツになっています。

境内北側に広がる鎮守の森は、「生田の森」と呼ばれています。
「生田の森」は歌枕として名高く、平安時代中期に清少納言が記した『枕草子』(まくらのそうし)の写本のひとつ、伝能因所持本(でんのういんしょじほん)にも「森は、大荒木(おほあらき)の森。忍(しのび)の森。ここひの森。木枯(こがらし)の森。信太(しのだ)の森。生田(いくた)の森。(以下略)」(115段)と記されています(大荒木の森=京都市伏見区、太の森=大阪府和泉市)。


境内には、寿永3年2月7日(1184年3月20日)の源平合戦(一ノ谷の戦い)で、梶原景季(かじわらかげすえ)が梅の枝を箙(えびら=矢を入れて背に負う道具)にさして奮戦したと『源平盛衰記』に記される「えびらの梅」、梶原景季が井戸の水を汲んで生田の神に武運を祈ったと伝えられる「梶原の井」、平敦盛(たいらのあつもり)の遺子が父の墓を訪れる途中で立ち寄ったという「敦盛の萩」、武蔵坊弁慶が源義経の代わりに平家打倒と源氏繁栄を祈念して竹を奉納したと伝わる「弁慶の竹」(注/弁慶が実在したかは定かでありません)など、源平合戦ゆかりの史跡があるほか、楠木正成の湊川合戦、織田信長の花隈城(はなくまじょう=現在の元町駅西方、生田中学校あたりにあった中世の城)攻めの舞台となるなど、戦いに関わりの深い神社にもなっています。

社殿や森は多くの戦火、地震などから見事に復活したため、「蘇りの社」(よみがえりのやしろ)としてもご利益が。

近年は勝利・勝運の神としてプロ野球球団・オリックスブルーウェーブやJリーグのヴィッセル神戸が必勝祈願を行なうことでも知られています。
「ご縁結びのいくたさん」としても名高く、カップルが一緒に参拝し、紅白のお守りを授与されるとふたりは結ばれるといわれ、カップルの参拝も多いのが特徴。

平成19年2月17日には女優の藤原紀香・お笑いタレントの陣内智則の結婚式が執り行なわれています。

境内社の生田森坐社の鳥居は、神戸市メリケンパークに展示されていた「世界一のクリスマスツリー」のアスナロを再生したもの。
生田の森の守り神と呼ばれる生田森坐社に参拝したなら、水みくじをひいて水占いにも挑戦を。

初詣の人出も関西では伏見稲荷大社(京都市)、住吉大社(大阪市)に次いで、毎年150万人も集めています。

生田神社
江戸中期に出版された『摂津名所図会』に描かれた生田神社
名称 生田神社/いくたじんじゃ
所在地 兵庫県神戸市中央区下山手通1-2-1
関連HP 生田神社公式ホームページ
電車・バスで JR三ノ宮駅、神戸市交通局・阪神・阪急・三宮駅から徒歩10分
ドライブで 阪神高速道路3号神戸線生田川IC、京橋ICから約2km
駐車場 250台/有料
問い合わせ TEL:078-321-3851
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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