勝興寺

勝興寺

富山県高岡市伏木古国府、本願寺8世・蓮如上人ゆかり(浄土真宗本願寺派)の名刹で、越中国の国庁跡に建つのが、勝興寺。加賀藩10代藩主・前田治脩(まえだはるなが)の支援を受け、寛政7年(1795年)建立した本堂、大広間及び式台は国宝、そのほか10棟の建物が国の重要文化財に指定されています。

本堂、大広間及び式台は国宝、10棟が国の重文に

勝興寺
国宝に指定される本堂

室町時代の文明3年(1471年)、本願寺8世・蓮如上人が越中国の布教の拠点として、砺波郡蟹谷庄土山(現・南砺市福光)に営んだ土山御坊が始まりという高岡の名刹。
土山御坊は永正14年(1517年)、佐渡にあった順徳上皇建立の寺を再興して勝興寺と名乗りますが、戦国時代に越中一向一揆の旗頭として越前朝倉氏、甲斐武田氏など戦国大名との関係を深め天正12年(1584年)、一向一揆衆に佐々成政(さっさなりまさ)から古国府城(ふるこくふじょう)の土地を寄進され、勝興寺も現寺地に移っています。

藩政時代には藩主・前田家の庇護を受け、越中における浄土真宗の触頭に。
広大な境内地は、明治初年の廃仏毀釈の荒波をくぐり抜け、往時のまま。
12棟の歴史的な建築物も、平成10年〜令和3年の長きに渡る修復作業を終え、かつての姿を取り戻しています。
令和4年12月に西本願寺の阿弥陀堂を模して寛政7年(1795年)に建立された本堂、さらには大広間及び式台が国宝に。
元禄5年(1692年)建立の大広間及び式台は、寺の中ではもっとも古い建築物で、「上段の間」があることから藩主や公家衆の使者をもてなす場となっていたことがわかります。

唐門は、明治26年に京の浄土真宗興正派本山の興正寺から譲り受け、北前船で運ばれたもので、明和6年(1769)年の建立。

このほか、総門、鼓堂、経堂、宝蔵、御霊屋、式台門、台所、書院及び奥書院、御内仏が国の重要文化財です。

勝興寺は、藩政時代に加賀藩前田家の庇護を受けたことから、日本遺産「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」の構成文化財にもなっています。

大伴家持が5年間赴任した越中国庁の跡

勝興寺境内は古代に越中国庁の置かれたところと推測され、越中守となった大伴家持(おおとものやかもち)は、この地で天平18年(746年)から5年間、政事を行なっています。境内には越中国庁跡の碑のほか、「もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花」(『万葉集』巻19-4143)など大伴家持の歌碑も3基建立され、ゆかりの地であることを示しています。

また境内の西南数十メートルのところに御亭角(おちんかど)という字名がありますが、御亭は迎賓館の意。
富山県内最古の白鳳時代のものと推測する軒丸瓦(のきまるがわら=軒先など屋根の縁を飾るための瓦)が出土したことから、古代には豪族射水臣の一族の氏寺があったと推測されています(御亭角廃寺)。
出土した瓦は小杉丸山遺跡で焼かれたもの。

国府の置かれた高岡は、近世、近代には北前船の寄港地としても栄え、勝興寺周辺には越中国一之宮の氣多神社、越中国分寺跡(薬師堂)、万葉の歴史を解説する「高岡市万葉歴史館」、さらには高岡市伏木気象資料館、高岡商工会議所伏木支所(旧伏木銀行)、二上山万葉ラインなどがあります。

画像協力:高岡市

勝興寺
名称 勝興寺/しょうこうじ
所在地 富山県高岡市伏木古国府17-1
関連HP 勝興寺公式ホームページ
電車・バスで JR伏木駅から徒歩10分
ドライブで 能越自動車道高岡北ICから約8km。または、北陸自動車道小杉ICから約14km
駐車場 伏木駅前観光駐車場(30台/無料)
問い合わせ 勝興寺 TEL:0766-44-0037/FAX:0766-54-5772
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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