赤穂城

常陸国笠間藩から入封した浅野長直(あさのながなお)が、慶安元年(1648年)から13年の歳月を費やして築城した名城が赤穂城。甲州流軍学による縄張りは、本丸と二の丸は輪郭式、二の丸と三の丸の関係は梯郭式で、近世城郭史上珍しい変形輪郭式の海岸平城となっています。「日本100名城」に選定。

『忠臣蔵』で名高い赤穂浪士ゆかりの名城

一の門、枡形、櫓門のニの門で形成される大手表門
往時の櫓で唯一復元された本丸隅櫓

1600(慶長5)年、姫路藩主・池田輝政の弟・池田長政が赤穂領主となり赤穂城の前身である大鷹城を築いたのが始まり。
2代藩主・池田輝興(いけだてるおき)は、日本初の水道工事といわれる上水道工事を城内、城下に行なっていますが、1645(正保2)年、突然、狂乱し、正室・亀姫(黒田長政の息女)をはじめ侍女数人を斬り殺すという騒動を起こしたため、改易になっています(正保赤穂事件)。

改易処分の際、幕命で城受け取りに赤穂に赴いた浅野長直は、そのまま赤穂藩主となり、1649(慶安2)年に赤穂城の築城を開始。
上水道を完成させたのも、入浜塩田法を導入して赤穂塩の経営を始めたのも浅野長直の治世で。

1701(元禄14)年、3代藩主・浅野内匠頭長矩(あさのたくみのかみながのり)は、江戸城・松の大廊下で吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしひさ)に対し刃傷に及ぶという事件が発生(赤穂事件=『忠臣蔵』で有名)。
浅野内匠頭は即日切腹、浅野家は断絶となったため、その後は赤穂藩主・永井家、森家の居城となっています。

廃藩置県までの12代165年間、赤穂藩主としては最も長く城主となったのが森家ですが幕末に攘夷派が敵対する守旧派の家老・森主税(もりちから)を暗殺するという「文久赤穂事件」が勃発しています。

城内の櫓や門は昭和〜平成の再建

本丸に残る天守台跡の石垣
復元された本丸厩口門

浅野家時代に5層天守の造営も計画されましたが、資金不足、あるいは幕府への遠慮のため着工されることはありませんでした。
天守台のみが現存。

明治6年の太政官布達によって、城内のほとんどの建物が破却されています。

昭和10年に大手門前の堀と太鼓橋を、昭和28年に本丸の外堀を復元。
さらに昭和30年に大手隅櫓(往時の建物と形状が不一致)と大手門、平成2年に本丸庭園、平成8年に大手門枡形、本丸門・枡形、本丸厩口門が復元され、二の丸庭園が復元中となっています。

三の丸には大石内蔵助良雄など47義士を祀る大石神社があるほか、12月14日に行なわれる『赤穂義士祭』は大手門から出発。

本丸庭園、二之丸庭園は国の名勝、大石良雄宅跡は国の史跡となっているのであわせて見学を。

赤穂城の構造は、関ヶ原の合戦から50年近く経っているものの、西国の諸大名を睨んで実戦を強く意識したものとなっており、複雑に折れ曲がる堀や石垣、角度をたがえる諸門に特徴があります。

赤穂城の登城では、ここに注目!
城跡散策では赤穂藩の石高以上(浅野長直入部時に5万3000石、永井直敬入部時には3万2000石、森家時代は2万石)の規模(そのため財政は逼迫)、折れ曲がる堀などに注目を。
城跡の東端には赤穂市立歴史博物館があるので、まずはここに立ち寄って赤穂の歴史情報を入手するのがおすすめでしょう。
旧赤穂城内に建つ大石神社境内には、『忠臣蔵』の主人公・大石内蔵助(おおいしくらのすけ)ゆかりの大石邸長屋門(国の史跡「大石良雄宅跡」)が残されています。
赤穂城
名称 赤穂城/あこうじょう
Akou Castle
所在地 兵庫県赤穂市上仮屋
関連HP 国史跡赤穂城跡公式ホームページ
電車・バスで JR播州赤穂駅から徒歩20分
ドライブで 山陽自動車道赤穂ICから約4.8km
駐車場 赤穂城跡東駐車場(90台/無料)、赤穂城跡西駐車場(100台/無料)、赤穂大石神社駐車場(50台/無料)
問い合わせ 赤穂観光協会 TEL:0791-42-2602
赤穂市産業観光課 TEL:0791-43-6839
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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