北海道虻田郡ニセコ町、ニセコ駅隣接地(ニセコ大橋側)に令和3年夏に誕生したのが、ニセコ鉄道遺産群。昭和28年まで簡易軌道真狩線狩太駅、簡易軌道の転車台などがあった場所で、その後、SL「C62ニセコ号」の運転に合わせて転車台が移設され、現存。「ニセコエクスプレス」などが静態保存されています。
転車台のほか「ニセコエクスプレス」も静態保存
北海道は、開拓や生産される原乳などの搬出を目的に、各地にナローゲージ(軌間762mm)の軽便鉄道(けいべんてつどう)が敷設されました。
当初は殖民軌道と称され、昭和17年以降は簡易軌道と呼ばれ、総延長は600kmを超えるほどでした。
真狩軌道(簡易軌道真狩線)もそのひとつで、国鉄・狩太駅(かりぶとえき=現・ニセコ駅)の駅前と真狩の市街西端まで12.9kmの軌道が昭和11年1月に開通。
当初は馬車鉄道で、開業翌年の昭和12年にガソリン機関車が導入されています。
その真狩軌道も昭和27年に廃止されましたが、その跡地に平成2年4月1日、根室本線・新得駅から蒸気機関車の転車台(ターンテーブル)を移設し、5月1日から「C62ニセコ号」がニセコ駅まで延伸運転されるようになりました。
平成7年11月3日、「C62ニセコ号」の運転が終了し、転車台は使用されることなく、草に隠れるようになりましたが、平成26年に転車台を整備(令和元年に再塗装)、平成29年6月3日、蒸気機関車9643がサッポロビール園から移設、令和元年10月に上屋の設置工事が完成し、公開されるようになりました。
さらに令和2年11月16日、「ニセコエクスプレス」車両が移設されたことを受け、令和3年夏にニセコ鉄道遺産群が誕生したのです。
蒸気機関車9643は、日曹炭鉱天塩鉱業所専用鉄道(宗谷本線・豊富駅〜日曹炭鉱天塩鉱業所/16.7km)で使われていた国鉄9600形蒸気機関車。
「キューロク」、「山親爺」の愛称で親しまれ、四国を除く日本全国で活躍したSLで、9643は、鉄道院時代の大正3年に川崎造船所で製造されたもの。
日曹炭鉱天塩鉱業所専用鉄道には昭和24年に入線、昭和47年7月29日に炭鉱の閉山の後、サッポロビール園に静態保存されていました。
「ニセコエクスプレス」は、昭和63年〜平成29年の間、人気を博したジョイフルトレインで、新千歳空港駅とニセコ駅を結ぶスキー列車を想定し、キハ183系気動車をベースとする初のリゾート車両として誕生しました。
保存されるキハ183-5001は、地元有志がインターネットのクラウドファンディングで保存費用を集め、解体を免れて奇跡的に保存が実現したもの。
運行当時の姿に再塗装されています。
ちなみに小樽駅〜ニセコ駅〜長万部駅〜函館駅間は、北海道新幹線の札幌延伸に伴いJR北海道から経営分離されることが確定、さらに北海道庁が主導する並行在来線対策協議会は、小樽駅〜ニセコ駅〜長万部駅は廃止の方針となっています。
北海道新幹線の駅は倶知安駅(くっちゃんえき)となる予定で、ニセコ駅は廃止となる可能性が大。
ニセコ鉄道遺産群 | |
名称 | ニセコ鉄道遺産群/にせこてつどういさんぐん |
所在地 | 北海道虻田郡ニセコ町中央通142-2 |
関連HP | ニセコ町公式ホームページ |
電車・バスで | JRニセコ駅から徒歩1分 |
ドライブで | 新千歳空港から約108km |
駐車場 | あり/無料 |
問い合わせ | ニセコ町有島記念館 TEL:0136-44-3245/FAX:0136-55-8484 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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