西塩子の回り舞台

西塩子の回り舞台

茨城県常陸大宮市の西塩子(にししおご/江戸時代は水戸藩領の西塩子村)、江戸時代後半につくられた日本最古の組み立て式舞台が、西塩子の回り舞台。18世紀に全国に広がった農村歌舞伎のひとつ。平成9年に半世紀ぶりに復活し、現在、保存会のもと3年に一度公演が行なわれています。

農村歌舞伎の組立式回り舞台

西塩子の回り舞台

村の祭りに歌舞伎や人形浄瑠璃を上演していた組立式の歌舞伎舞台。
舞台の大きさは、会場となる敷地によって間口4間(7.2m)から最大7間(12.6m)までに拡大が可能でした。
花道は4間もしくは6間(10.8m)の長さに組み立てることができ、奥行きは一丈(3m)ほどで、舞台の後方中央に、間口2間(3.6m)、奥行き八尺(2.4m)の回り舞台を一段高く設置していました。

昭和20年を最後に、戦後は行なわれなくなっていましたが、平成3年に行なわれた大宮町歴史民俗資料館の調査で、地元の郷倉から江戸時代の大幕など舞台で使用された貴重な道具類などが見つかりました。
舞台を知る古老はすでにこの世を去っていましたが、祖先の遺した文化財を現代に活かそうと、平成6年、西塩子の回り舞台保存会が設立。
ついに平成9年、西塩子の回り舞台が半世紀ぶりに組み上げられ、「西塩子の回り舞台」復活記念公演が開催されました。

その後、地芝居の一座が結成され、平成13年からは原則として3年に一度の秋、舞台の組立と地芝居の公演が行なわれています(会場は大宮公民館塩田分館グラウンド/2019年、2022年・・・)。

柱や束に使用する材木150本余と、屋根に用いる真竹300本余を伐り出して舞台の材料にし、1ヶ月以上を費やして舞台と客席を用意します。
かつては毎回材木は売り払っていましたが、現在では保存し、真竹だけ新しいものを伐り出しています。
西塩子の回り舞台保存会が保存伝承する間口と奥行き各20m、アーチ型の屋根の高さ7mの壮麗な舞台は、茨城県の有形民俗文化財(地域の高齢化が進み、舞台を組み立てる人手が足りないため、公演の際にはボランティアを募集しています)。

文政3年(1820年)の大幕も現存し、舞台で使われるフスマ(大通具のひとつ)も幕末から明治時代につくられたものがあります(実際に舞台では新調したものを使用)。

現在の常陸大宮市では、宝暦元年(1751年)頃には地芝居が盛んに行なわれていたことがわかっているので、18世紀半ばには常陸国北部でも農村歌舞伎が伝搬、隆盛していたことになります。

西塩子の回り舞台
名称 西塩子の回り舞台/にししおごのまわりぶたい
所在地 茨城県常陸大宮市北塩子2163
場所 大宮公民館塩田分館グラウンド
関連HP 西塩子の回り舞台保存会公式ホームページ
ドライブで 常磐自動車道那珂ICから約21km
問い合わせ 常陸大宮市文化スポーツ課 TEL:0295-52-1111
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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