鹿児島県鹿児島市下田町にある用水路が、関吉の疎水溝(せきよしのそすいこう)。薩摩藩11代藩主・島津斉彬(しまづなりあきら)の集成館事業で、動力源として利用された水源で、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産になっています。
江戸時代初期の農業用水を改良し、集成館に水を供給
薩摩藩では享保7年(1722年)頃から島津家別邸(仙巌園)の生活用水として吉野台地を流れる棈木川(あべきがわ)の水を引いていましたが、その棈木川下流に取水口を設け、7kmほど先の集成館まで導水したのです。
取水口には元禄4年(1691年)の水天碑があることから、それ以前から農業用水として使われていたと推測できます。
反射炉が設置された嘉永5年(1852年)に工事は完成し、集成館で水車を回しています。
取水口(標高132m)と集成館(標高124m)の高度差はわずかに8mで、地盤の溶結凝灰岩(吉野火砕流が溶結)を掘削し、18ヶ所の隧道を設けて水を流していますが、薩摩藩の高度な技術が伺い知れます。
水が必要だったのは、蒸気機関を導入する以前の集成館事業の初期段階では、高炉の稼動や大砲の砲身に弾を通す穴を開ける装置を動かすことのも水車の役目だったから。
寺山炭窯で焼いた白炭の火力、関吉から引いた水力によって集成館事業の火力と動力を生み出したため、ともに世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産になっています。
関吉地区に岩盤をくり抜いた稲取川の取水口跡が現存。
用水も3kmほどが現存し、農業用水として使われています。
画像協力/公益社団法人鹿児島県観光連盟
関吉の疎水溝 | |
名称 | 関吉の疎水溝/せきよしのそすいこう |
所在地 | 鹿児島県鹿児島市下田町 |
関連HP | 鹿児島観光コンベンション協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR鹿児島中央駅から南国交通バスで28分、関吉の疎水溝入口下車、徒歩5分 |
ドライブで | 九州自動車道薩摩吉田ICから約4km、鹿児島北ICから約7km |
駐車場 | せきよしの物産館駐車場を利用 |
問い合わせ | 鹿児島市観光交流局観光交流部世界遺産・ジオ・ツーリズム推進課 TEL:099-216-1326 |
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