鎌倉幕府を開いた源頼朝が創建した由緒ある古社が鶴岡八幡宮。もとは康平6年(1063年)、相模守となった源頼義が、材木座に京の石清水八幡宮を勧進したのが始まり。その後、鎌倉に居を構えた頼朝が治承4年(1180年)10月12日に現在地に若宮を建て、これを鎌倉の町造りの中心としています。
武門の守護神としてあがめられた八幡宮
建久2年(1191年)の大火で社殿を焼失後、上宮(本宮)と下宮(若宮)に分け、新たに石清水八幡宮護国寺を勧請し、別当となる神宮寺も建立しています。
もともと八幡神(神仏習合時代には八幡大菩薩)は武神とされ、平安時代以降、清和源氏、桓武平氏の尊崇を集め、全国に八幡神社が勧請されています。
その筆頭ともいえるのが鶴岡八幡宮。
近年では宇佐神宮、石清水八幡宮と並んで、日本三大八幡宮に数える場合もあります(本来は福岡の筥崎宮)。
源実朝は、建保7年(1219年)1月27日、雪が積もる鶴岡八幡宮の参拝後、甥の公暁に襲われて落命。
その場所は諸説あって定かでなく、公暁が大銀杏に隠れていたという話も後世の創作です。
26歳という若さと、子がなかったため、河内源氏棟梁の血筋は源実朝で途絶えています。
戦国時代の大永6年11月12日(1526年12月15日)、相模国の北条氏綱と安房国の里見義豊が激突した鶴岡八幡宮の戦いでは、里見軍の兵火で焼失。
その後、北条氏綱が再建しています。
江戸時代には、徳川家の庇護を受け、諸堂が整備されています。
当時は境内に東照大権現(徳川家康)を祀った東照宮もありました。
静御前が舞を奉納した若宮廻廊跡に建つ舞殿
明治維新の廃仏毀釈、神仏分離の荒波で、多宝大塔などの仏堂、大部分の仏像は破却され、社僧は神主へと転身しています。
本宮(上宮)は文政11年(1828年)に11代将軍・徳川家斉(とくがわいえなり)が再建した流権現造りで、国の重要文化財。
境内にある源平池は、北条政子が掘らせたと伝わっています。
摂社の白旗神社は源頼朝、源実朝を祀る社。
また本宮西側に建つ丸山稲荷社は、本宮造営以前から祀られていた地主社。
室町時代の本殿が現存し国の重要文化財に指定されています。
舞殿は、吉野山で頼朝の手勢に捕縛され、鎌倉に連れてこられた静御前が義経を慕い、八幡大菩薩に献舞するため白拍子を披露した若宮廻廊跡に建っています。
文治2年(1186年)4月8日のことでした。
吉野山 峰の白雪 ふみわけて
入りにし人の 跡ぞ恋しき
しづやしづ しづのをだまき くり返し
昔を今に なすよしもがな
『吾妻鏡』には、「誠にこれ社壇の壮観、梁塵(りょうじん)ほとんど動くべし、上下みな興感を催す」と記されています。
毎年4月第2日曜に舞殿では『静の舞』が再現されています(鎌倉市観光協会の『鎌倉まつり』の行事)。
正月ぼたん、春ぼたんが植栽される神苑ぼたん庭園、春は桜、夏は紅白の蓮の花が美しい源平池と、カメラ片手に参拝する人が多いのも特長。
源平池の横には喫茶「風の杜」があり、ひと休みできます。
鶴岡八幡宮のおもな年中行事
1月1日/歳旦祭=年頭の祭儀で、1年間の大神様のご加護を祈念します。正月三が日の初詣の人出は250万人前後で、全国TOP5に入る人気です。
1月4日/手斧始式=鎌倉全体の工事始めの意味合いもあり、二の鳥居から神職の先導の下、鳶職の木遣り音頭とともに御神木が段葛を進みます。
1月5日/ 除魔神事=「御的始」「御弓始」と称する武家の事始に倣い、魔を退ける力がある弓矢で射手が大的を射る神事です。別名「大的式」。
1月15日/左義長神=通称とんど焼き。源平池のほとりでしめ縄や門松が浄火で燃やされます。
2月節分前直近の土日を含む3日間/鶴岡厄除大祭=「厄除大祈祷」では、神饌をお供えした祭壇の前で神職が特別な厄除け祈願の祝詞を奏上し、巫女による神楽舞を奉納。
2月3日/節分=弓矢を授けられた神職が、下拝殿において古式に則り鳴弦(めいげん)の儀を奉仕。その後、豆撒きが執り行なわれます。
2月の最初の午の日/丸山稲荷社初午祭=稲荷神が伏見稲荷の三ヶ峰に降臨の日で、全国の稲荷の祭礼の日。
4月2日/由比若宮例祭=現社地に遷座する前の元八幡の地で、例祭を斎行。
4月3日/若宮例祭=巫女による萬代の舞が奉奏され、例祭を斎行。
4月9日/丸山稲荷社例祭=古くからの地主神・丸山稲荷社の例祭。
5月5日/菖蒲祭=端午の節句に斎行される「菖蒲の節句」の祭典。
5月28日/白旗神社例祭=宮の西側にあった源頼朝を祀る白旗社と、西坂下にあった源実朝を祀る柳営社とを、合祀した白旗神社の祭礼。
6月7日/今宮例祭=承久の乱により隠岐島へと流された後鳥羽天皇の霊を鎮めるために創建された末社である今宮の例祭。
6月30日/夏越の大祓=半年間のうちに知らず知らずのうちに積み重なった罪穢(つみけがれ)を祓います。「茅の輪くぐり」が行なわれます。
7月7日/七夕祭=梶の葉を模った色紙と、短冊型の絵馬が五色の紐に結ばれて神前に奉納。上宮の楼門内や舞殿の四方に七夕飾りが施されます。
8月・立秋の前日〜9日までの3日間(年により4日間)/ぼんぼり祭(夏越祭・立秋祭・実朝祭)=立秋の前日には夏越祭、立秋当日に立秋祭、そして源実朝の誕生日の8月9日には実朝祭が執り行なわれます。
9月14日〜16日/例大祭=16日には古式ゆかしい流鏑馬神事、鈴虫を神域の自然の中に放す鈴虫放生祭が行なわれます。
11月8日/丸山稲荷社火焚祭=11月8日は古くから鞴祭り(ふいごまつり)の日で、本社である伏見稲荷大社同様、お火焚きが行なわれます。
11月15日/七五三祈請祭=七五三祝の日です。
12月16日/御鎮座記念祭=建久2年11月21日の遷宮の日を西暦に換算して12月16日に斎行。
12月30日/年越の大祓=半年間のうちに知らず知らずのうちに積み重なった罪穢(つみけがれ)を祓います。人形(ひとがた)に罪穢を託して祓います。
二の鳥居から三の鳥居までの段葛(だんかずら)は、急ごしらえの鎌倉の町で、雨水などで難儀しないようにと一段高い歩道を造成したもの。
鶴岡八幡宮に向かうにつれ、道幅が狭くなり、遠近法で実際より遠くに感じられるという仕掛けになっています。
横須賀線の建設までは一の鳥居から続いていましたが、鉄道建設のため二の鳥居までは撤去されています。
鶴岡八幡宮 | |
名称 | 鶴岡八幡宮/つるがおかはちまんぐう Tsurugaoka Hachimangu Shrine |
所在地 | 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31 |
関連HP | 鶴岡八幡宮公式ホームページ |
電車・バスで | JR鎌倉駅東口から徒歩10分 |
ドライブで | 横浜横須賀道路朝比奈ICから約5km |
駐車場 | 40台/有料 |
問い合わせ | 鶴岡八幡宮 TEL:0467-22-0315/FAX:0467-22-4667 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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