江の島岩屋

江の島岩屋

神奈川県藤沢市にある江戸時代には江の島詣(江島詣)で賑わった江の島。その江の島の最奥、稚児ヶ淵(ちごがふち)から海上に造られたコンクリート製の桟道を進んだ先にあるのが、江の島岩屋。役(えん)の行者が開き、空海(弘法大師)や日蓮上人も参籠したと伝えられる天然の洞穴で、江戸時代の江島詣では、実は、ここが目的の地。

源頼朝の命で岩窟に弁財天を祀る

有料施設(観光洞窟)となっている江の島岩屋には2つの洞穴があり、第一岩屋は奥行き152m、第二岩屋は奥行き112mと日本有数の海食洞。
現在では照明完備となっており、入口付近には江の島詣でが全盛時代に歌川広重が描いた岩屋の浮世絵や明治時代の写真を展示。
日蓮の寝姿石も残っています。

文武天皇4年(700年)に、役小角(えんのおづぬ=役行者)が参籠したと伝えられる岩屋は、その後、白山を開山した奈良時代の修験道・泰澄(たいちょう)、城崎温泉開祖の道智、平安時代になって空海、安然(あんねん)、さらに鎌倉時代には日蓮という名僧が参籠したと伝えられていますが、残念ながらあくまでも伝承。
鎌倉で布教をした日蓮は、江の島で修行を積んだといわれているので、日蓮修行の地という可能性は大。

鎌倉時代に成立した歴史書『吾妻鏡』によれば、寿永元年(1182年)、源頼朝の命により文覚(もんがく)が江の島岩屋に弁財天を勧請したとあり、これが中世における岩屋の信仰の始まりと推測できます(明治初年の神仏分離、廃仏毀釈までは金亀山与願寺という寺でした)。

浮世絵に見る江の島詣

江戸時代に爆発的なブームを起こした江の島詣。
その目的は岩屋にあった岩屋本宮(現在の旅館「岩本楼本館」の前身、岩本坊が別当)に参拝すること。
昔は、御窟(おんいわや)を本宮といい、奥津宮を本宮御旅所、中津宮を上之宮、辺津宮を下之宮と呼んでいたのです。
江戸時代後期には江戸庶民の行楽地として丹沢大山(智明権現)〜江の島(岩屋に祀られた弁才天を参詣)〜鎌倉〜金沢八景を結ぶ観光ルートが流行したのです。
とくに6年に一度の開帳の時には、多数の参詣人で賑わいました。

歌川広重や、歌川国定なども御開帳の様子を浮世絵に描いています。
歌川広重の描いた『相州江の島弁財天開帳詣本宮岩屋の図』(江ノ島弁財天開帳詣)は、弘化4年~嘉永5年(1844年~1853年)頃の制作で3連になった大作(上の写真)。
『相州江之嶋弁才天開帳参詣群衆之図』と同時に江戸の四谷傳馬町二丁目の住吉屋から刊行されたもので、裸の子供たちに投銭をしてそれを海中で拾わせたりして楽しむ姿が描かれています。

幕末に歌川国貞(2代)の描いた『東海道名所之内 江之島』(伊勢兼版)にも名のある武将が裸の子供たちに投げ銭をして海中で拾う姿が描かれています。

歌川広重の『六十余州名所図会』は全国各国の代表的観光地を1枚ずつ描いたものですが、相模国は「江之嶋 岩屋ノ口」です。

『東海道名所之内 江之島』(伊勢兼版)/歌川国貞
『六十余州名所図会』「相模 江之嶋 岩屋ノ口」/歌川広重
名称 江の島岩屋/えのしまいわや
所在地 神奈川県藤沢市江の島2-5
関連HP 藤沢市観光公式ホームページ
電車・バスで 小田急線片瀬江ノ島駅から徒歩20分
ドライブで 横浜横須賀道路朝比奈ICから約14km
駐車場 江の島なぎさ駐車場(232台/有料)
問い合わせ TEL:0466-22-4141
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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