高知県土佐清水市、岬の先端の断崖上に白亜の足摺岬灯台(あしずりみさきとうだい)が建つ四国最南端の岬(正確には岬の西1kmにある長碆が最南端)が足摺岬。足摺宇和海国立公園の中心的なビューポイントで、隆起海岸のダイナミックな海岸線が続き、花崗岩が浸食された高さ100mの大海食崖は圧巻。
四国最南端の岬には白亜の灯台が建つ
足摺岬は、背後にそびえる標高458mの白皇山(しらおさん)を中心とする花崗岩の台地が沈隆と隆起を繰り返し、長い歳月かけて誕生した半島の先端部。
太平洋に突き出した半島を海岸沿いに走る高知県道27号(足摺岬公園線)沿いにある駐車場のジョン万次郎銅像から全長2kmの自然遊歩道に入れば足摺岬展望台があります。
足摺岬展望台からは270度というワイドな視野で大海原が広がり、右に足摺岬、左に天狗の鼻を眺望。
眺めとしてはここが一等地で、それが証拠に日露戦争時、バルチック艦隊を見張るための海軍望楼もここに設けられていました(展望台の石垣部分はその一部と推測できます)。
ここで道は二手に分かれ、左へ行けば天狗の鼻展望台、右に海岸沿いの断崖上に続く自然遊歩道を歩けば椿のトンネルを抜けて足摺岬灯台に到達。
1月下旬~2月ならば15万本のヤブツバキが花をつけ、まさに椿の岬と化します。
足摺岬灯台からさらにロマンス歩道を歩けば白山洞門があります。
ジョン万次郎像から白山洞門まで片道30分、往復1時間ほど必要。
足摺の七不思議
足摺岬灯台や椿のトンネルを通る自然遊歩道沿いには「足摺の七不思議」と呼ばれる場所が9ヶ所あります(七不思議=7つの不思議の意ではなく、多くの不思議を表す言葉)。
空海ゆかりの地が多いことから、遍路の全盛を背景にできた、足摺岬の奇勝巡りといえるでしょう。
1.ゆるぎ石
空海が金剛福寺を建立した時、発見したと伝わる石で、その上に乗って揺することで孝心を試すことができるとか
2.不増不滅の手水鉢
賀登上人と弟子・日円上人が補陀落渡海の際、弟子の日円上人が先に渡海したことを悲しみ、落ちる涙が不増不滅の水になったもの
3.亀石
亀の形の自然石で、空海が亀の背中に乗って不動岩(足摺岬灯台前に現存)に渡った亀呼場(七不思議の一つ)の方向に向いている
4.汐の満干手水鉢
岩の上に小さなくぼみの水は、潮の満ち引きに連動するという
5.根笹
これ以上は大きくならないという風衝低木の笹
6.大師一夜建立ならずの華表
柱穴がある建造物の礎石風の石で、空海が一夜で華表(かひょう=日本では鳥居)を造らせようとした際、夜明け前に天邪鬼(あまのじゃく)が鳥の鳴き真似をしたため、夜が明けたと勘違いし、作業を止めたと伝わる
7.亀呼場
空海がここから亀を呼び、亀の背中に乗って不動岩に渡り、祈祷をした
8.大師の爪書き石
「南無阿弥陀仏」という六字の妙号は、空海の爪彫りと伝わる
9.地獄の穴
金剛福寺近くまで通じるという穴(現在は埋まっている)
足摺岬と補陀落渡海
かつては紀州(現・和歌山県)の那智勝浦(なちかつうら)と並び、南方にある浄土へ渡るという補陀洛(ふだらく)信仰があり、補陀落渡海(ふだらくとかい)も行なわれていました。
記録に残る最古の渡海は、平安時代の長保年間(999年〜1004年)、日円上人(日円坊)によるもの。
長保3年(1001年)には賀登上人が渡海しています。
最後の記録は、明治42年、天俊の渡海で、それ以前になると記録上は15世紀ころまで遡ります。
空海創建と伝わる四国八十八箇所第38番札所・金剛福寺(こんごうふくじ)は補陀洛院(ふだらくいん)という号で、熊野三所権現を勧請した寺。
足摺岬は、観音の住む補陀洛界に最も近いとされ、補陀落信仰への深い関わりを示しています。
つまりは、空海(弘法大師)はその足摺岬突端に広がる太平洋の大海原に、観世音菩薩の理想の聖地・補陀落を感得したというのです(仏教には西方の阿弥陀浄土とともに、南方にも観音菩薩の降り立つ補陀落山があるとされました)。
また、紀州との交流は、室戸岬や紀伊半島にぶつかって生じた黒潮の反転流(逆潮)に乗って、古くから多くの人々が交流した証でもあります。
熊野の補陀落渡海は、貞観10年(868年)の慶龍上人が最古なので、熊野那智から黒潮文化交流で伝わったと推測できます。
足摺岬 | |
名称 | 足摺岬/あしずりみさき |
所在地 | 高知県土佐清水市足摺岬 |
関連HP | 土佐清水市公式ホームページ |
電車・バスで | 土佐くろしお鉄道(TKT)中村駅から高知西南交通バスで1時間45分、足摺岬下車 |
ドライブで | 高知自動車道四万十中央ICから約88km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 土佐清水市観光商工課観光係 TEL:0880-82-1212 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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