御厨人窟

御厨人窟

室戸岬突端から東側に回り込んだ国道55号の山側に位置する海蝕洞が御厨人窟(みくろど)。空海修行の地と伝えられる伝説の洞窟で、空海が悟りを開いたといわれる地。洞窟内からの空と海の絶景から、「空海」と名乗るようになったとも。海蝕洞の内部には大国主命を祀る五所神社が鎮座しています。

空海が悟りを開き、空海と名乗るようになったという伝説の洞窟

高知県には空海伝説の地が数ありますが、その筆頭ともいえる場所です。
この洞窟で聞く波音は「室戸岬・御厨人窟の波音」として環境省の「日本の音風景100選」にも選定されています。

伝説によると空海は、御厨人窟に居住し、隣接する神明窟(しんめいくつ)で難行を積み、悟りを開いたとされています。
空海が虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)の真言を唱えている(虚空蔵求聞持行の修行=虚空蔵菩薩の真言を100万遍唱える)際に、空から明星(金星)が近づいてきて、空海の口の中に飛び込んだというのが、この神明窟。
明星は、虚空蔵菩薩の化身とされるので、空海は虚空蔵菩薩と一体になったということになるのです。
過酷な虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)の末に、「心に観ずるに、明星口に入り、虚空蔵光明照らし来て、菩薩の威を顕す」(『御遺告』/入定6日前に弟子・信徒へ後世のための戒めを25箇条にわたって示した遺言)、「明星来影す」(『三教指帰』/空海の出家宣言の書)と記される、超常的な神秘体験に至り、その後、さらに四国の山中での山岳修行に入るのです。

駐車スペース内に五所神社の納経朱印所「みくろど納経所」が設置され、納経所でヘルメットを貸りて、洞内に入る仕組み(御厨人窟内から海を眺めるとそのシルエットがピカチューという説もあるのですが=TOPの画像参照)。

近くには「土佐日記御崎の泊碑」が立っていますが、土佐国の国司として赴任していた紀貫之(きのつらゆき)が都に帰る途中の出来事を綴った『土佐日記』の1月19日・20日の項に御崎(室戸岬)に船を入れ、風を待ったことに由来するもの(「十九日、日あしければ船いださず」、「二十日、昨日のやうなれば船いださず、皆人々憂へ歎く」と記されています)。
ただし、実際の船泊(ふなどまり)がどこであったのかは、定かでありません(旧室戸岬漁港とする説もあります)。

一帯は室戸ユネスコ世界ジオパークのジオサイトにもなっていますが、御厨人窟上部の岩も天狗岩と名が付き、西側から眺めると天狗の顔に見えます。

御厨人窟
名称御厨人窟/みくろど
所在地高知県室戸市室戸岬町4030
関連HP室戸市観光協会公式ホームページ
電車・バスで土佐くろしお鉄道奈半利駅から高知東部交通バスで室戸世界ジオパークセンター・甲浦行きで50分、岬ホテル前下車、徒歩5分
ドライブで高知自動車道南国ICから約78km
駐車場5台/無料
問い合わせ室戸市観光協会 TEL:0887-22-0574
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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