高知県長岡郡大豊町にある真言宗智山派の寺、豊楽寺(ぶらくじ)。豊楽寺は聖武天皇の勅願で行基開山と伝わる古刹ですが、本尊・薬師如来坐像、脇仏・阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像を安置する薬師堂(本堂)は、平安時代末期建立と推測され、現存する四国最古の建造物で国宝。
瑠璃光をもって衆生の病苦を救う薬師如来を安置
入母屋造り(いりもやづくり)、杮葺き(こけらぶき)の堂々たる薬師堂。
薬師堂に安置されている像の胎内から、「仁平元年(1151年)」、「五間四面薬堂造立」との銘が発見されていること、そしてその様式から平安時代末期の築と推測できます。
薬師堂の正面にある向拝は寛永14年(1637年)に台風の被害を受けて修築された部分です。
国宝の醍醐寺・薬師堂(京都府京都市伏見区)も平安時代後期の築ですが、本来、空海が開いた真言宗の本尊は大日如来、最澄の天台宗の本尊は釈迦如来であるべきなのに、高野山金剛峯寺金堂(真言宗の中心)の本尊も薬師如来、延暦寺根本中堂(天台宗の中心)の本尊も薬師如来が安置されたことから、現世利益の薬師如来が平安時代に、重要視されていたことがわかります。
平安時代末期には末法思想から阿弥陀信仰が隆盛しますが、瑠璃光をもって衆生の病苦を救うという薬師如来への信仰は根強いものだったことがよくわかります。
ちなみに、四国の国宝建造物は、高知県1件、香川県2件(神谷神社・本殿、本山寺・本堂)、愛媛県3件(石手寺・二王門、太山寺・本堂、大宝寺・本堂)の合計6件です。
画像協力/高知県
豊楽寺・薬師堂 | |
名称 | 豊楽寺・薬師堂/ぶらくじ・やくしどう |
所在地 | 高知県長岡郡大豊町寺内314 |
関連HP | 大豊町観光開発協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR土讃線大田口駅から徒歩30分 |
ドライブで | 高知自動車道大豊ICから約11km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 豊楽寺 TEL:0887-73-0029 |
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