松尾寺

松尾寺

京都府と福井県との県境に位置する標高693mの青葉山(若狭富士)西山腹(舞鶴市)にある西国三十三所第29番札所の寺が松尾寺(まつのおでら)。和銅元年(708年)に中国の僧、威光(いこう)が開山したと伝わる古刹です。本尊は馬頭観世音菩薩(西国三十三所唯一の馬頭観音像/秘仏)で、病気平癒、安産、競馬にご利益があるとか。

馬頭観音を安置する青葉山中腹に建つ古刹

元永2年(1119年)には、鳥羽天皇の行幸もあり、寺領4000石を下賜されているなど、平安末期には朝廷の尊崇があったことがうかがえます。
鐘楼の脇に立つ大イチョウは、鳥羽天皇お手植えとの伝承があります。

天正6年(1578年)、織田信長の丹後攻めによる細川幽斎(ほそかわゆうさい=細川藤孝)の兵火によって堂宇はことごとく焼失しましたが、戦後、丹後南半国(加佐郡・与謝郡)の領有を認められて宮津城を居城とし、関が原の合戦の際には家康に接近して丹後田辺城を守った細川幽斎の手によって復興。
丹後田辺藩第3代藩主・牧野英成(まきのひでしげ)らによってさらに伽藍が整備されています。

現存する本堂は、牧野英成が京都所司代だった享保15年(1730年)に再建。
毎年5月8日に江戸時代から伝わる珍しい『仏舞』が行なわれます。
これは大日如来、釈迦如来、阿弥陀如来の面をつけ、越天楽の譜に合わせて優雅に舞う宗教行事で、京都府の無形文化財に指定。

寺宝が多く、京都国立博物館に寄託している国宝の絹本着色普賢延命菩薩像を始め、本阿弥陀如来坐像などの文化財を収蔵。
絹本着色普賢延命菩薩像は、美福門院(藤原得子/ふじわらのなりこ=鳥羽天皇の譲位後の寵妃で近衛天皇の生母)の念持仏だと伝えられています。

重要文化財の宝物館での展観は『春季展観』、『秋季展観』に限られています。

ちなみに、日本百番観音霊場(西国三十三所・坂東三十三所・秩父三十四所)のなかで、馬頭観世音を本尊とする観音霊場は、松尾寺のほかには橋立堂(秩父三十四所観音霊場・札所28番)があるのみという珍しい観音様です。

松尾寺

西国三十三所霊場間の距離・時間

28番・成相山成相寺(京都府宮津市成相寺339) — (57km/1時間20分) — 29番・青葉山松尾寺(京都府舞鶴市松尾532) — (70kmで琵琶湖湖畔・長浜港/1時間30分の長浜港から琵琶湖汽船30分) — 30番・竹生島宝厳寺(滋賀県東浅井郡びわ町早崎竹生島1664)
※距離と時間はルートや交通状況により変動するため、およその目安です

松尾寺
名称松尾寺/まつのおでら
所在地京都府舞鶴市松尾532
関連HP松尾寺公式ホームページ
電車・バスでJR松尾寺駅から徒歩50分。または東舞鶴駅から京都交通バス高浜線(本数は少ないので注意)で18分、松尾寺口下車、徒歩40分
ドライブで舞鶴若狭自動車道舞鶴東ICから約8km
駐車場東舞鶴側参道駐車場(80台/有料)、小浜・高浜側参道駐車場(25台/有料)
問い合わせ松尾寺 TEL:0773-62-2900/FAX:0773-62-2028
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
松尾寺の仏舞

松尾寺の仏舞

毎年5月8日、京都府舞鶴市で、国の重要無形民俗文化財に指定される『松尾寺の仏舞』(まつのおでらのほとけまい)が行なわれます。金色の仏面や光背(こうはい)をつけた6人の舞手が笛や太鼓などの演奏にのせて典雅に舞うもので、600年ほど前に創始され

宝厳寺

宝厳寺

琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶしま/滋賀県長浜市)にあり、神亀元年(724年)、聖武天皇が国内安穏、国家鎮護の祈りを込めて、行基に堂塔を建立させたのが始まりと伝わる古刹が宝厳寺(ほうごんじ)。本尊の大弁財天は厳島神社、江島神社と並び日本三大弁

成相寺

成相寺は、704(慶雲元)年、真応上人が開基した橋立真言宗の古刹で、天橋立を望む絶景で知られる鼓ヶ岳(569.1m)の中腹に建っています。元々は真言密教(山岳修験)の道場。本尊は美人観音として知られる聖観世音菩薩で、「願い事が成りあう寺」と

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