世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産でもある東寺(教王護国寺)。国宝・御影堂(みえいどう)の南側に位置する毘沙門堂(びしゃもんどう)は、天元元年(978年)倒壊した羅城門の上層から食堂に移されていた兜跋毘沙門天像(とばつびしゃもんてん/国宝で現在は宝物館に収蔵)を収蔵するために建てられた堂。
異国風の兜跋毘沙門天像に注目
毘沙門堂の建物は、東寺としては比較的に新しい文政5年(1822年)の建立(平成6年修復)。
都七福神の毘沙門天を祀っています。
兜跋毘沙門天像(とばつびしゃもんてんぞう)は、金鎖甲(きんさこう)という鎖を編んで作った鎧(よろい)を着し、腕には海老籠手(えびごて)と呼ぶ防具を着け、さらに筒状の宝冠を被るという出で立ち。
しかも尼藍婆(にらんば)・毘藍婆(びらんば)という二鬼を従えた地天女(ちてんにょ)が差し出す両手の上に立つという異国風のスタイルです。
兜跋(とばつ)の意味に関しては、諸説あり、兜跋国(現・中国新疆ウイグル自治区トゥルファン)に由来するといわれていますが、近年は毘沙門天がもつ宝塔(ストゥーパ)に由来するとの説が強まっています。
兜跋毘沙門天像は、中国・唐から招来し、平安京の朱雀大路の南端に位置した羅城門に平安京守護のために安置されたもの。
羅城門が天元3年(980年)7月9日の暴風雨で倒壊した際に、東寺に遷されたと伝えられています。
毘沙門天は平安京造営にあたり国家鎮護のために東寺を創建した空海(弘法大師)が入唐の際、感得したもの。
北方の守護神、仏教を守護する神であり、毘沙門天を信仰すると十種の福を得るとされ、無量の知恵で学業成就や安産の信仰を集め、菅原道真や小野道風も信仰していたといわれています。
現在、毘沙門堂に安置されるのは、宝物館安置の兜跋毘沙門天像(国宝)の模刻ですが、日本最古の七福神巡りといわれる『都七福神』の毘沙門天になっています。
諸仏が祀られる東寺には『都七福神・毘沙門天』をはじめ多様な御朱印がありますが、いずれも食堂(じきどう)で頂くことができます。
取材協力/東寺
名称 | 東寺・毘沙門堂/とうじ・びしゃもんどう |
所在地 | 京都府京都市南区九条町1 |
関連HP | 東寺公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄京都線東寺駅(近鉄京都駅から2分・急行停車)から徒歩5分で南大門。地下鉄烏丸線九条駅から徒歩10分。JR京都駅からは八条口西口から徒歩15分で慶賀門 |
ドライブで | 名神高速道路京都南ICから約3.9km。または、阪神高速8号京都線鴨川西出口から約3km |
駐車場 | 東寺駐車場(150台/有料) |
問い合わせ | TEL:075-691-3325/FAX:075-662-0250 |
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