黄檗山萬福寺・天王殿

黄檗山萬福寺・天王殿

京都府宇治市にある黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)。江戸時代初期に明から来日した黄檗宗の開祖・隠元がもたらした中国風の伽藍が、禅宗らしい凛とした空気の中にも優美な雰囲気を醸し出していますが、その玄関ともいえるのが天王殿。日本最古の七福神といわれる『都七福神』の布袋尊(ほていそん)を祀っています。

弥勒菩薩像は、『都七福神』の布袋尊

黄檗山萬福寺・天王殿

玄関として天王殿を配するのは中国では一般的な建て方で(黄檗山萬福寺には明朝様式の伽藍配置が現存)。

国の重要文化財に指定される天王殿の正面にデンと祀られているのが像高110.3cmという布袋尊の坐像。
布袋尊は弥勒菩薩の化身といわれ、黄檗山萬福寺では弥勒菩薩(みろくぼさつ)として祀られています。
福々たる布袋尊(弥勒菩薩)ですが、明国からわざわざ仏師・茫道生(はんどうせい)を招き、寛文3年(1663年)に造立した傑作です。
布袋は名を契此(けいし/定応大師)といい、実際に唐代末から五代時代にかけて中国・明州(現・中国浙江省寧波市)に実在した高僧。
常に頭陀袋(ずだぶくろ)を背負っていたことから布袋と呼ばれるようになったもの。

布袋(契此)は、死の間際に「彌勒真彌勒 分身千百億」(弥勒は真の弥勒にして分身千百億なり)、「時時示時分 時人自不識」(時時に時人に示すも時人は自ら識らず)という偈文を遺したため(『景徳傳燈録』)、中国国内で弥勒菩薩の化身なのではないかという伝説が広まり、次第に布袋になぞらえた太鼓腹の姿が弥勒仏の姿形として描かれるようになったのです。
そんな本場・中国のありがたい布袋像が萬福寺に配置され(あくまで弥勒菩薩としてですが)、萬福寺の布袋像が七福神に加わって、七福神信仰が完成したといえるのです。
つまりは日本の布袋尊のルーツともいえる像なのです。

布袋尊を韋駄天、四天王が守護

この巨大な布袋尊像(弥勒菩薩像)の背後に像高200cmという巨大な韋駄天(いだてん)、すべて像高223cmの広目天(西方)、多聞天(北)、持国天(東)、増長天(南)という四方を守護する四天王を祀っています。

×型の組子を入れた匂欄(高欄)は、日本では特異な襷匂欄(たすきこうらん)で、チベット・中国で使用されているデザインです。

三門から天王殿へと続く参道など、境内の参道は正方形の平石を菱形に敷き、両側を石條(せきじょう)で挟んだ特殊な形式ですが、これは龍の背の鱗をイメージしているのだとか。
つまりは龍の背を歩いて参詣する仕組み。
中国では龍文は天子・皇帝の位を表すもの。
黄檗山では力量ある禅僧を龍像に例えるので、菱形の石の上立てるのは住持のみとなっています。

取材協力/黄檗山萬福寺

名称 黄檗山萬福寺・天王殿/おうばくさんまんぷくじ・てんのうでん
所在地 京都府宇治市五ヶ庄三番割34
関連HP 黄檗山萬福寺公式ホームページ
電車・バスで 京阪電鉄黄檗駅・JR黄檗駅から徒歩7分
ドライブで 京滋バイパス宇治東ICから約1.4km。または、宇治西ICから約3.7km
駐車場 萬福寺駐車場(60台/有料、普茶弁当・料理を味わった場合は無料)
問い合わせ TEL:0774-32-3900/FAX:0774-32-6088
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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