方広寺・大仏殿跡(大仏殿跡緑地)

方広寺・大仏殿跡(大仏殿跡緑地)

京都市東山区にある天台宗の寺、方広寺。豊臣家を滅亡へと導いた「国家安康」「君臣豊楽」の鐘が有名ですが、現在も地元で「大仏殿」と通称されるように、豊臣秀吉が建立した、大仏があった場所で、大仏殿跡には礎石なども残され、大仏殿跡緑地として整備されています。

豊臣秀吉が建立した大仏、大仏殿のあった地

文禄4年(1595年)に完成した大仏は、6丈3尺(19m)という巨大なものでしたが木造で、文禄5年7月13日(1596年9月5日)の慶長伏見地震で倒壊しています(大仏殿で倒壊していません)。
倒壊した大仏の代わりに、甲斐善光寺から善光寺の本尊、善光寺如来(善光寺式阿弥陀三尊)を勧請し(川中島合戦での類焼を案じた武田信玄が、甲斐善光寺に安置)、大仏殿は「善光寺如来堂」と呼ばれて、多くの参詣者を集めるようになりました。

秀吉は、慶長3年(1598年)、病に伏しますが、これは善光寺の本尊を方広寺に勧請した祟(たたり)ではないかと考え、8月17日、善光寺如来は信濃国の善光寺へ戻されることとなりましたが、奇しくも8月18日、秀吉はこの世を去っています。

その後、豊臣秀吉が大仏の復興を図りますが、完成間近の慶長7年(1602年)、流し込んだ銅が漏れ出たため、大仏殿とともに焼失。
それでも、片桐且元を奉行として再建が行なわれ、慶長17年(1612年)、大仏殿と大仏が完成、さらに慶長19年(1614年)には梵鐘が完成し、徳川家康の承認を得て、開眼供養(かいげんくよう)の日を待つばかりとなりました。
ところが、その梵鐘の「国家安康」(こっかあんこう)の句が徳川家康の家と康を分断し、「君臣豊楽 子孫殷昌」(くんしんほうらく・しそんいんしょう)は「家康の名を二分して国安らかに、豊臣を君として子孫殷昌を楽しむ」と、家康および徳川家を冒瀆するものと指摘され、大坂の陣での豊臣家の滅亡へと繋がり、開眼供養もできないままに放置されたのです。

寛文2年5月1日(1662年6月16日)の近江・若狭地震で大仏は倒壊、銅造大仏は寛永通宝の原料となり、大仏は木造で再建されていますが、この大仏も寛政10年(1798年)に落雷が大仏殿に落ち、火災で焼失。

明治3年、廃仏毀釈で、方広寺境内の大部分は失われ、その後、明治天皇の意向で豊国神社が再建され、その南側は京都国立博物館になっています。

大仏殿があったのは、京都国立博物館西門の北側で、中心部分が大仏殿跡緑地として整備されています。

方広寺、豊国神社、京都国立博物館と続く敷地の西側の石積みは、かつての大仏殿の石積み。
「方広寺大仏殿跡及び石塁・石塔」として国の史跡になっています。
三十三間堂の太閤塀(重要文化財)、や南大門(重要文化財)も方広寺造営に伴って建てられた遺構です。

方広寺・大仏殿跡(大仏殿跡緑地)
名称 方広寺・大仏殿跡(大仏殿跡緑地)/ほうこうじ・だいぶつでんあと(だいぶつでんあとりょくち)
所在地 京都府京都市東山区大和大路通七条上ル茶屋町527-2
電車・バスで JR京都駅から市バスで7分、博物館三十三間堂前下車、徒歩6分。または、京阪本線七条駅から徒歩6分
ドライブで 名神高速道路京都南ICから約7km
駐車場 6台/無料
問い合わせ 方広寺 TEL:075-561-1720
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

方広寺

1586(天正14)年、豊臣秀吉により京都・東山に創建された天台宗の寺、方広寺。豊臣秀吉が奈良の東大寺にならって大仏建立を志して造営したもの。1595(文禄4)年、大仏殿が完成し高さ6丈(18m)の廬舎那仏(るしゃなぶつ)を安置します。梵鐘

豊国神社

京都の東山にある豊国神社(とよくにじんじゃ)。「ほうこく」とも「とよくに」とも呼ばれ、祭神は豊臣秀吉。京は秀吉が大名として統治した場所。秀吉は死後、遺言により東山阿弥陀ヶ峰に葬られ、方広寺の鎮守社である豊國社に祀られましたが、往時の建物は大

甲斐善光寺

甲斐善光寺

川中島の合戦で、信州の善光寺焼失を恐れた信玄が、永禄元年(1558年)、御本尊の善光寺如来をはじめ、諸仏・寺宝類を奉遷するために建てた寺が甲府市に建つ甲斐善光寺(かいぜんこうじ)。寺の建つ板垣の郷は、善光寺を建立した本田善光(ほんだよしみつ

方広寺

方広寺・国家安康の鐘

京都府京都市東山区にある天台宗の寺、方広寺。豊臣秀吉が奈良の東大寺にならって大仏建立したことで知られますが、もうひとつ有名なのが国家安康の鐘。大坂冬の陣・夏の陣の原因とされる、銘文「国家安康・君臣豊楽」が刻まれた鐘ですが、日本三大梵鐘にも数

 

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