京都府京都市下京区にある京都鉄道博物館に併設されるのが、梅小路機関車庫。大正3年11月10日築の鉄筋コンクリート造りの扇形車庫(せんけいしゃこ)、転車台、そして20線の引込線は国の重要文化財、土木学会選奨土木遺産になっています。現存する日本最古の鉄筋コンクリート造り機関車庫です。
日本最古の鉄筋コンクリート造り機関車庫
大正3年、京都停車場(現・京都駅)改良工事の一環として,鉄道院西部鉄道管理局の設計で完成したもの。
京都停車場は、渡辺節設計、シャンデリアが下がる洋風建築でしたが、昭和25年11月18日の火災で焼失。
梅小路機関車庫の扇形車庫は、転車台を中心としてほぼ東西に扇形平面を描いて広がっています。
20線の引込線が扇形車庫へと伸び、車庫内には機関車の修理を行なうため軌道内にピット(点検坑)を配した器械場(1番線〜7番線、2番〜3番線は奥へ延ばされ、部品加工を行なう場に)、その東に連続する機関車駐留場(8番線〜20番線)、器械場背面に張り出す職場で構成されていました。
京都停車場は、鉄道黎明期の明治10年に開業していますが、旅客と貨物の取扱いが未分化で、鉄道需要の増大とともに、動線の交錯が問題化。
その結果、明治43年、京都停車場は旅客専用とし、別に貨物専用の梅小路貨物停車場を新設し、京都機関庫(明治9年開設)と二条機関庫(明治30年、京都鉄道が開設)を統合して梅小路機関庫を設けることが決まったのです。
突貫工事で大正3年(京都停車場完成が8月、梅小路機関庫は11月)に完成させたのは(工事開始は大正2年2月、施工は大林組)、大正3年秋に大正天皇の即位大礼が京都で挙行される予定だったから(実際には大正4年11月10日に京都御所で挙行)。
貨物停車場は東側に配置された貨物取扱所と西側の操車ヤードに分かれ、山陰線が分岐する大きな三角形の敷地の中心に扇形車庫と転車台が配されています。
これが、梅小路機関庫で、扇形車庫は、鉄道院技師・渡辺節(わたなべせつ)の設計。
渡辺節は大正5年に鉄道院を退職し、綿業会館(国の重要文化財/大阪市)、旧和泉銀行本店(国の登録有形文化財/岸和田市)など近畿地方の多くの建物の設計に携わっています。
扇形車庫としたのは敷地の有効活用から。
当時の梅小路機関庫の様子を伝えるのは、この車庫のみで、現存する転車台は昭和31年の製造。
昭和47年、鉄道開業100周年を記念し、蒸気機関車の動態保存博物館「梅小路蒸気機関車館」として再生され、平成28年4月29日、その後継の京都鉄道博物館オープンとともに、その付属施設になっています。
梅小路機関車庫(京都鉄道博物館) | |
名称 | 梅小路機関車庫(京都鉄道博物館)/うめこうじきかんしゃこ(きょうとてつどうはくぶつかん) |
所在地 | 京都府京都市下京区観喜寺町 |
関連HP | 京都鉄道博物館公式ホームページ |
電車・バスで | JR梅小路京都西駅からすぐ。または、JR京都駅から徒歩20分 |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 京都鉄道博物館 TEL:0570-080-462 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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