高知県の東部に位置し、太平洋に臨む安芸市。三菱財閥の創立者・岩崎弥太郎の出身地でもあり、土居廓中(どいかちゅう)と呼ばれる武家屋敷が残されています。マンホールのデザインには野良時計とツツジの花が描かれています。
野良時計は安芸市のシンボル
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野良時計は安芸平野に中央、土居廓中と呼ばれる武家屋敷の一画にある民家の時計台です。
時は、明治20年(1887年)。まだ、家に時計がない時代、土居村(現在の安芸市土居)の大地主・畠中源馬は、アメリカ製の八角掛時計を手にしました。源馬はこの時計の仕組みに興味を抱き、興味を持てば仕掛けを見たいと思うのは人の常。そうなのです、源馬はこの時計を分解し、組み立て直しを繰り返し、ついには仕組みを理解したのです。
こうして自作の大時計を作ることを決意。歯車や分銅など、全ての部品を手づくりで完璧までに作り上げたのが野良時計です。
周辺で農作業をしている人々に時間を知ることができると大いに喜ばれ、野良作業に欠かせないことから、「野良時計」と呼ばれるようになりました。
平成8年、国の登録有形文化財に指定されています。
この「野良時計」、制作から120年間にわたって働き続けましたが、平成16年、源馬の孫・畠中秀雄氏が死去。管理する人がいなくなったことから現在は、往時の姿を留めるのみとなっています。
観光シーズンやイベント時などに臨時に動かすこともありますが、個人の住居なので内部公開はしていません。
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ツツジは「市の花」
マンホールに描かれたもうひとつ絵柄のツツジは、安芸市の「市の花」。
昭和45年6月に、「市の花」に制定されています。
安芸市のツツジの名所は内原野公園、約1万5000本が植栽されています。
内原野公園は江戸時代中期、土佐・山内家の家老で安芸地方を領地としていた五藤家(土居廓中はその城下町)によって造営された庭園です。ツツジは3月下旬~5月初旬がツツジの花の開花期で、『内原野つつじ祭り』も開催されます。
北海道から沖縄まで、ツツジを「市の花」、「町の花」、「村の花」に選んでいる市町村は200を優に越えています。しかも樹木として県の木、市の木にも制定されるという日本人にとってなじみ深い花木といえます。
しかし、安芸市のツツジは藩政時代からの歴史あるもの。まさにアキのこない花というワケなのです。
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