三重県名張市、室生火山群(むろうかざんぐん=1500年万年前の溶岩で形成された台地)が名張川の支流・青蓮寺川の侵食作用によって削られて誕生した渓谷と奇岩群が香落渓(かおちだに・こうちだに)。斧で断ち割ったかのような柱状節理の岩肌が8kmに渡って続く景勝地で、紅葉時期の絶景で有名。
室生火山群の安山岩が生み出す、美しい渓谷美
奥香落渓(おくかおちだに )のさらに奥にある鎧岳(893.9m)の鎧岩(よろいいわ)、兜岳の兜岩(かぶといわ)なども気の遠くなるような歳月をかけて浸食により誕生したもの。
まさに自然が生み出した彫刻美術館というわけなのです。
下流の青蓮寺湖側から渓流沿いを走る三重県道・奈良県道81号(名張曽爾線)をドライブすると香落トンネルを抜けたあたりから、柱状節理の岩肌が連続。
羅漢岩、行者不動滝、屏風岩、亀瀬、鬼面岩・武者岩、天狗柱岩、下経塚・上経塚、算盤滝(そろばんだき)、小太郎岩(幅700m、高さ200mの大絶壁)などの奇岩や滝が展開します。
奥香落渓の小太郎岩は、県境を越えて奈良県曽爾村(そにむら)になり、さらに県道を南下すると曽爾村役場を過ぎ、奈良と伊勢神宮を結ぶ国道369号(伊勢本街道)にぶつかります。
紅葉の見頃は例年11月上旬~11月中旬頃。
とくに紅葉谷あたりの紅葉は見事。
途中トイレは紅葉谷と落合バス停にあります。
火山帯でない場所にある、室生火山群の不思議
室生火山群の主峰は、倶留尊山ですが、1500万年前頃(第三紀)に日本列島で活発に活動していた火山群です。
ただし、巨大噴火を起こした巨大火山がどこにあったのかは、謎に包まれています。
現在日本で噴火活動を行なっている活火山、そして今後火山活動の可能性のある火山は、200万年前以降に日本列島っを縦断する形で形成した火山帯の上にあります。
室生火山群は、火山帯からはズレているので、今後、火山活動を起こす可能性はありません。
つまり、室生火山群と呼ばれるものの、イメージされる火山とは異なり、香落渓の岩峰は、わずかに浸食を免れた火砕流堆積物といえるのです。
龍神温泉、川湯温泉など、火山のない紀伊半島に温泉が湧くのは、1500万年前の室生火山群の火山活動を生んだマグマの余熱の恩恵です。
香落渓 | |
名称 | 香落渓/かおちだに・こうちだに |
所在地 | 三重県名張市青蓮寺 |
関連HP | 名張市公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄大阪線名張駅から三重交通バス青蓮寺ダム行きで30分、落合下車。または名張駅から三重交通バス掛車庫行き、太郎路行きで香落橋下車(落合バス停まで6km) |
ドライブで | 名阪国道針ICから約28km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 名張市観光交流室 TEL:0595-63-7648 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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