金華山(牡鹿半島)

金華山(牡鹿半島)

宮城県石巻市、牡鹿半島(おしかはんとう)の突端から沖に1kmの場所にあり、周囲26km、面積1000haの原生林に覆われた大きな島が、金華山(きんかさん)。中腹には1250年前に創建されたと伝えられる金華山黄金山神社が建ち、出羽三山、恐山とともに奥州三霊場に数えられています。

奥州三霊場のひとつで原生林茂る孤島

金華山は、全島が花崗岩で覆われているため海蝕によってできた千畳敷や千人沢、大函崎、小函崎、仁王崎、賽の河原など海岸線には、数多くの景勝地が点在しています(三陸復興国立公園に指定されています)。
島南部の半周は、徒歩で5時間ほど必要。
大海祗神社(おおわだつみじんじゃ)の鎮座する島の最高点(443.5m)へは、金華山港背後の金華山黄金山神社から登山道を1時間ほど(金華山港からは1時間15分)。

金華山の東岸の断崖絶壁に建つ金華山灯台は、「日本の灯台の父」リチャード・ブラントン(Richard Henry Brunton)設計の灯台で、明治9年11月1日に初点灯(東北では、尻屋埼灯台と2ヶ所のみ)。
国の登録有形文化財になっているほか、日本の灯台50選に選定されています。

金華山黄金山神社は3年続けてお参りすれば、一生お金に不自由しないといわれ、多くの参拝者を集めています。
金華山に住む人は、金華山黄金山神社の神職だけで、後は野生の鹿と猿が多数。
鹿は神の使いとして大切に保護されています。

金華山の原生林(ブナ、モミ、アカマツ、草地)と鹿は、環境省の「かおり風景100選」に選定。

毎年10月第1日曜には『神鹿角切り行事祭』が行なわれています(秋に発情期を迎えた雄鹿は、気性が荒くとても危険なため、境内周辺の人に慣れた鹿による事故を防ぐため、人の手で角を切り落としています)。

東日本大震災後、金華山観光クルーズの定期船ホエール(鮎川港〜金華山港)は日曜のみの運航で、平日などには「海上タクシーくろしお」(12名乗りモーターボート)が運航しています(乗船にあたっては予約を)。

金華山は奈良時代に金を産出した地!?

金華山という地名は、天平21年(749年)、陸奥守・百済王敬福(くだらのこにきしきょうふく)が陸奥国小田郡で産した黄金を聖武天皇に貢献(『続日本紀』)、万葉歌人・大伴家持(おおとものやかもち)が「天皇の御代栄えむと東なる陸奥山に金花咲く」(「万葉集」巻十八)が詠んだ地だと江戸時代に解釈され、享保4年(1719年)編纂の仙台藩の地誌『観蹟聞老志』にも金を産出した陸奥山は、金華山のことと記されています。

松尾芭蕉も、『奥の細道』途中、石巻の日和山で「こがね花咲とよみて奉たる金花山海上に見わたし」と記していますが(実際に、日和山から金華山は視認できないので、見間違えですが)、大伴家持の歌、そして黄金を産した金花山だと認識していることがわかります(江戸時代には金花山と表記するものが多数あります)。

金華山は花崗岩の山なので、金を産出したとは考えづらく、昭和32年の発掘調査で、宮城県遠田郡涌谷町涌谷の黄金迫にある黄金山神社が産出地であることが判明しています。

金華山(牡鹿半島)
名称 金華山(牡鹿半島)/きんかざん(おじかはんとう)
所在地 宮城県石巻市鮎川浜金華山
電車・バスで JR石巻駅から宮城交通バス鮎川港行きで1時間24分、終点下車。鮎川港から金華山航路、または、海上タクシー利用
ドライブで 三陸自動車道石巻河南ICから約38kmで鮎川港。鮎川港から金華山航路、または、海上タクシー利用
駐車場 市営鮎川観光桟橋駐車場(50台/無料)
問い合わせ 石巻観光協会牡鹿事務所 TEL:0225-45-3456
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

金華山灯台

金華山の東端、鮑荒崎に建つ金華山灯台。「灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)設計の灯台で、明治9年11月1日に初点灯した歴史ある灯台です。全国に23基しかないAランクの保存灯台、

おしか御番所公園

おしか御番所公園

宮城県石巻市、三陸海岸の南端、牡鹿半島(おしかはんとう)の突端に位置し、沖の金華山(きんかさん)や網地島(あじしま)を見渡す公園が、おしか御番所公園。江戸時代には、唐船(外国船)の往来を監視する唐船番所(とうせんばんどころ)が置かれた場所で

 

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