飛鳥板蓋宮跡(飛鳥京跡)

飛鳥板蓋宮跡

奈良県明日香村岡にある飛鳥京跡にあったと推測される皇居の跡が飛鳥板蓋宮跡(あすかいたぶきのみやあと)。皇極天皇元年(642年)1月、女帝・皇極天皇は夫・舒明天皇(じょめいてんのう)の百済宮での崩御により即位し、9月19日、蘇我蝦夷(そがのえみし)に新宮殿建設を命じています。これが板蓋宮で、蘇我入鹿の首塚近くに礎石が残されています。

蘇我入鹿はこの皇居で暗殺された!

飛鳥板蓋宮跡

最初の遣唐使を送った舒明天皇の百済宮(くだらのみや)は、現在の奈良県北葛城郡広陵町百済にあったとされていますが、どこにあったのかは定かでありません。

皇極天皇が遷都した古代の都、板蓋宮は、皇極天皇4年6月12日(645年7月10日)に発生した乙巳の変(いっしのへん=飛鳥時代の政変、クーデター)で、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ=後の天智天皇)、中臣鎌足(なかとみ の かまたり=藤原鎌足、藤原氏の祖)らが蘇我入鹿(そがのいるか)を宮中にて暗殺して蘇我氏(蘇我宗家)を滅ぼした場所です。
この政変の結果、大化の改新へと繋がり、天皇を中心とする律令国家が成立することに。

この乙巳の変で、皇極天皇は退位し、孝徳天皇(軽皇子が即位)となって、難波長柄豊碕宮(なにわのながらのとよさきのみや=現在の大阪市中央区にあった古代の都)に遷都しています。

白雉5年(654年)10月、孝徳天皇が難波宮で崩御すると、白雉6年(655年)初頭に皇極上皇は板蓋宮に都を戻し、再度即位(重祚)し、斉明天皇となっています。
白雉6年(655年)末に板蓋宮は火災に遭い、焼失、斉明天皇は川原宮(奈良県明日香村川原)へ遷っています。
皇極上皇が板蓋宮に都を遷したのは、百済の度重なる新羅侵攻、唐と百済の対立など緊迫する朝鮮半島・中国情勢の情報が入り、海岸に近い難波宮を、国防の観点から避けたかったのかもしれません。

飛鳥板蓋宮跡近くには、乙巳の変で暗殺された蘇我入鹿の首塚もあるので、あわせて見学を。

ちなみに、飛鳥京跡は、舒明天皇の飛鳥岡本宮、皇極天皇(斉明天皇)の飛鳥板蓋宮、斉明天皇の後飛鳥岡本宮、天武天皇。持統天皇の飛鳥浄御原宮の総称で、同じ場所に造営されています。

大化の改新は、飛鳥板蓋宮で始まった!

舒明天皇の崩御後、蘇我蝦夷ら蘇我氏の専横政治がさらに増長し、蘇我蝦夷とその子・蘇我入鹿は、自らの陵墓に庶民を動員するなどの政治の私物化も図り、643年12月16日(皇極天皇2年11月1日)、次期天皇に蘇我氏の血筋の古人大兄皇子(ふるひとのおおえのみこ=蘇我入鹿とはいとこ)を擁立しようと、対立候補の山背大兄王(やましろのおおえのおう=聖徳太子の子、蘇我入鹿とはいとこ)の斑鳩宮(いかるがのみや=聖徳太子が築いた宮殿)を攻撃。
山背大兄王は、再起を図って潜伏することもできましたが、混乱を避け、ついに斑鳩寺で自害(聖徳太子の血筋、上宮王家は滅亡)。

一連の事件後、中臣鎌足(なかとみのかまたり)は蘇我氏打倒の計画を進め、中大兄皇子に急接近。
645年7月10日(皇極天皇4年6月12日)、三韓(新羅、百済、高句麗)から進貢(三国の調)の使者が来日し、飛鳥板蓋宮の大極殿で三国の調の儀式が行なわれる際、蘇我入鹿は殺害され、蘇我蝦夷も自邸に火を放って自害しています。

翌年、皇極天皇は軽皇子へ譲位し、孝徳天皇の治世が始まりますが、一連のクーデターが大化の改新です。

甘樫丘(あまかしのおか)の麓には、蘇我入鹿首塚もあり、丘東側の麓からは蘇我氏邸宅跡と目される遺跡も見つかっています。

名称 飛鳥板蓋宮跡(飛鳥京跡)/あすかいたぶきのみやあと(あすかきょうあと)
所在地 奈良県高市郡明日香村岡
ドライブで 西名阪自動車道郡山ICから約21km
問い合わせ 飛鳥観光協会 TEL:0744-54-3240
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

難波宮跡公園

古代の政治の中心は、飛鳥・奈良地域にあったのですが、645年、古代史上で有名な「大化改新」とともに即位した孝徳天皇は、人心を一新して政治を行なうために、古代の国際貿易港である難波津(なにわづ)に近い難波宮に遷都しています。その後、聖武天皇は

蘇我入鹿首塚

645(皇極天皇4)年に起こった古代の日本を揺るがしたクーデター、乙巳の変(いっしのへん=大化改新につながる蘇我氏の暗殺計画)の時、飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)で殺害された蘇我入鹿(そがのいるか)の首が飛んできたといわれる地が飛鳥寺の

飛鳥川原宮跡

飛鳥川原宮跡

『日本書紀』には、斉明天皇元年(655年)の冬、飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや/現・奈良県明日香村岡にあった飛鳥京の皇居)が火災に遭ったため、斉明天皇は飛鳥川原宮へ遷ったと記されており、その飛鳥川原宮跡と推測されるのが奈良県明日香村川原に

 

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