聚楽園大仏

聚楽園大仏

愛知県東海市の聚楽園公園(しゅうらくえんこうえん)にある大仏が聚楽園大仏。大正5年に実業家・山田才吉が聚楽園を開園し、昭和2年5月21日に聚楽園大仏の開眼供養を行なっています。当初は、白毫にサーチライトが仕込まれ伊勢湾を照らすなど観光的な要素も盛り込まれたユニークな大仏として人気を集めました。

守口漬を考案した実業家・山田才吉が大仏を建立

聚楽園大仏

大正5年、自宅のあった知多郡上野村砂崎(現・東海市名和町)に熱田神宮前から旅館「雲丹館」を移築し、料理旅館「聚楽園」を開業。
さらに天皇陛下(昭和天皇)御成婚記念事業として「火事にも、台風にも倒れない日本一の高さの大仏を造ろう」と、大正12年に大仏建設に取り掛かります。
阿弥陀如来の坐像は、像高18.79m。
当時の宣伝文句には、造石の化身、胎内仏に由諸ある観世音菩薩像(後桜町天皇の念持仏)、胎内に本朝の十三宗の御祖師像を祀る、御台座に国家鎮護のための一切経の写経石とあります。

一見すると銅製に見えますが、昭和60年に銅色に塗装されたもので、実は鉄筋コンクリート製です。
制作は、後藤鍬五郎(ごとうくわごろう)で、昭和3年には常福寺・刈宿の大仏(かりやどのおおぼとけ/現・西尾市)も制作。

昭和9年には聚楽園大仏が動き出し、名古屋周辺の観光地を回り、刈宿の大仏の出会った後に雲に乗って東京へという、奇想天外な特撮映画『大仏廻国 中京篇』(監督:枝正義郎、主演:石川秀道/大仏映画製作所=日本初のミニチュア着ぐるみ特撮作品)も制作され、大須世界館などで上映されています。
この映画を自主制作した監督の枝正義郎(えだまさよしろう)は、映画『ゴジラ』やテレビ『ウルトラQ』などで知られる「特撮の神様」円谷英二(つぶらやえいじ)の師。

名鉄常滑線聚楽園駅にも近く、往時には行楽地として人気で、その後も近郊の遠足などの地ともなりましたが、海岸の工業地帯化などに伴って近年では知る人も少なくなり、穴場の公園と大仏となりつつあります。

山田才吉
幕末の1852(嘉永5)年、美濃国厚見郡富茂登村(現・岐阜県岐阜市大仏町)に生誕。
実家は料理屋ということもあって、名古屋に出て店を構え、若宮八幡社西隣に漬物屋「きた福」を開店。
守口漬(守口大根の味醂粕漬)を考案し、評判となります。
漬物の販売で巨利を得た山田は、愛知県下で初めて缶詰製造販売に参入し、日清戦争、日露戦争でさらに財を築きました。
中日新聞の前身でもある中京新報の創刊、路面電車(後の市電東築地線)の熱田電気軌道の創立などにも携わっています。
「名古屋教育水族館」、料理旅館「東陽館」、「南陽館」、「北陽館」、「聚楽園なども開業。
昭和12年1月31日没。
聚楽園大仏
名称 聚楽園大仏/しゅうらくえんだいぶつ
Shurakuen Daibutsu(Shurakuen Great Buddha)
所在地 愛知県東海市荒尾町西丸山(聚楽園公園内)
関連HP 東海市公式ホームページ
電車・バスで 名鉄聚楽園駅から徒歩5分
ドライブで 伊勢湾岸自動車道東海ICから約2km
駐車場 200台/無料
問い合わせ 東海市しあわせ村 TEL:052-689-1600
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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