中山隧道

中山隧道

新潟県長岡市山古志地区の東端・小松倉集落と旧広神村(現・魚沼市)を結ぶ、全長877mの手掘りのトンネルが中山隧道(なかやまずいどう)。のべ3000人以上の小松倉集落住民の労働奉仕で、つるはしだけで掘ったという隧道は、人が通行できる手掘りのトンネルとしては、2位以下に大きな差をつけて日本一の長さを誇っています。

山古志側入口部分のみ見学が可能

中山隧道

当時の山古志村小松倉集落から近くの市街地までは長岡市街地へ20km、小千谷市へ15km、小出町(現・魚沼市)へは広神村水沢新田(現・魚沼市)を経由して12kmもありました。
どの商業エリアへ行くにしても峠越えが必要で、小松倉集落と旧広神村を結び、中山峠下を通る峠道は4km以上あり、冬は吹雪により遭難する人が後を絶ちませんでした。

そんななか、昭和7年、隧道開削が集落の総会で議論され、賛成41世帯、反対22世帯で工事開始に。
工事資金は小松倉集落63世帯の人たちの寄付や土地売却で調達し、片刃のツルハシ(坑内は狭いためツルハシの刃と柄を半分に)とシャベルで掘り進み、掘削した土石は地車(丸太の車輪に箱を乗せたもの)で運び出しました。
ツルハシの先端が潰れると、雪の峠を超えて広神村の鍛冶屋まで女性たちが運ぶという難行苦行が待ち構えていました。

昭和8年11月12日の着工から一時中断(戦時下で昭和18年中断、昭和22年再開)を挟み、16年の歳月をかけて掘られた中山隧道(昭和24年5月1日貫通)。
平成10年に2車線の国道291号中山トンネルが完成するまで、約50年もの間、現役として活躍しました。
昭和57年の国道指定から、中山トンネルの完成までは、この中山隧道が国道だったことに。

隧道を掘る技術は、山古志の代名詞・棚田の水を確保するための横井戸を掘る技術が活かされています。
国道291号中山トンネルの完成で、その役割を終えていますが、崩落の危険性があるため、入口から70mの部分までのみ見学可能。
徒歩で通行すると10分ほどかかりますが、残念ながら現在は通り抜けができません。
土木学会選奨土木遺産にも選定。

平成15年には、ひとりの死者も出さずに中山隧道を完成させた山古志村の人々の不屈の精神力と家族愛そして郷土愛を顕彰して、ドキュメンタリー映画『掘るまいか・手堀り中山隧道の記録』も完成しています。

手掘り隧道ベスト10

廃道になったもの、コンクリートなどで補修、拡張された隧道も含まれたランキングです。

1位中山隧道新潟県長岡市山古志小松倉877m
2位羽黒隧道新潟県長岡市山古志大久保500m
2位雨乞山隧道新潟県小千谷市塩谷500m
4位黒姫新潟県佐渡市黒姫375m
5位走水第2隧道神奈川県横須賀市馬堀229m(完成時320m)
6位片洞門山形県小国町弁当沢200m
7位丸塚隧道大分県九重町松木150.6m
8位戸草長野県信濃町146m
9位梨ノ木新潟県長岡市栃尾丸川138m
10位東隧道新潟県長岡市山古志梶金134m
名称中山隧道/なかやまずいどう
所在地長岡市山古志東竹沢
関連HPつなごう山古志の心(公益財団法人山の暮らし再生機構)公式ホームページ
ドライブで関越自動車道小千谷ICから約20km
駐車場15台/無料
問い合わせ山古志支所産業建設課 TEL:0258-59-2343
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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