長崎県壱岐市芦辺町にある国の特別史跡に指定される遺跡が原の辻遺跡(はるのつじいせき)。対馬(つしま)とともに、古くから大陸との交流の拠点として重要な役割を果たしてきた壱岐島(いきのしま)。原の辻遺跡は、『魏志倭人伝』に登場する「一支国」(いきこく)の王都と目される遺跡です。
弥生時代の環濠集落は、一支国の王都!?
日本で弥生時代の遺跡として国の特別史跡に指定されているのは、登呂遺跡(静岡県静岡市)、吉野ヶ里遺跡(佐賀県吉野ヶ里町・神埼市)の3ヶ所だけ。
発掘調査で、日本最古の船着き場の跡、住居跡などが確認されているほか、交流の証でもある様々な地域の土器、中国の貨幣や三翼鏃(さんよくぞく)、さらには厚みのある凝灰岩の自然石を利用して製作された人面石(日本唯一)、ココヤシで作った笛などが出土しています。
『魏志倭人伝』(ぎしわじんでん)に登場する「一大国」(一支国の誤記)の王都も、ここにあったと推定され、「壱岐市立一支国博物館」で、この原の辻遺跡に関して詳細に解説しています。
遺跡一帯は、原の辻一支国王都復元公園として整備され、王都の中心域で発見された17棟の復元建物エリア、国を守る多重環濠エリア、遺跡から発見された原種系の植物を育てている植物栽培園エリアの3エリアに分かれています。
復元建物エリアには、大型竪穴住居(王の居館)、大型壁立建物(使節宿泊場)、大型壁立建物(集会場)、円形壁立住居(通詞の家)、高床式倉庫、物見櫓などが復元され、古代にタイムスリップする疑似体験が可能。
原の辻遺跡の調査成果や復元整備の歴史を紹介する展示室の見学や古代技術を体感することができる体験室が備わった「原の辻ガイダンス」があり、験室では勾玉(まがたま)づくり、土器づくり、ガラス玉づくりなどの古代技術体験を楽しむことができます。
弥生時代前期から古墳時代初期にかけての大規模な環濠集落の跡で、九州最大級の弥生時代の環濠集落「国の特別史跡 吉野ヶ里遺跡」(よしのがりいせき)、そして多重環濠を有する水に浮かぶ弥生集落「国の史跡 平塚川添遺跡」(ひらつかかわぞえいせき)とともに、九州北部三県姉妹史跡のひとつにもなっています(「弥生時代の大規模環濠集落」という共通性があり、「クニ」の中心だったことが明白)。
ちなみに長崎県内で国の特別史跡に指定されるのは、原の辻遺跡のほかは、対馬にある古代山城の金田城跡だけです。
原の辻遺跡 | |
名称 | 原の辻遺跡/はるのつじいせき |
所在地 | 長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触1092-1 |
関連HP | 壱岐市観光連盟公式ホームページ |
電車・バスで | 郷ノ浦港からタクシーで30分、または壱岐空港からタクシーで5分 |
ドライブで | 郷ノ浦港から約8km |
駐車場 | 原の辻一支国王都復元公園駐車場(34台/無料) |
問い合わせ | 原の辻ガイダンス TEL:0920-45-2065 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag