北木島のベニス(千ノ浜の護岸景観)

北木島のベニス(千ノ浜の護岸景観)

岡山県笠岡市北木島町、日本遺産「笠岡諸島」の構成資産で、「石の島」として名高い北木島。採石の廃土石によって埋め立てられ、採石で発生した端材を利用して護岸を構築し、小さな石の積み出し港として活用されていたのが千ノ浜(ちのはま)。千ノ浜の護岸景観は北木島のベニスと称されています。

護岸に使われた北木石の矢穴に注目!

北木島のベニス(千ノ浜の護岸景観)

矢穴技法により石を切り出す過程では、割りたいラインに沿って直線状にセットウ(金槌)とノミ(鑿)を使って、石に矢(クサビ)を入れる穴を開けていきますが、この穴が矢穴。
矢と呼ばれる鉄製で楔(くさび)状の道具を矢穴に差し込み、ゲンノウ(鉄製の槌)でたたくことで、徐々に矢が石に食い込み、亀裂が生じて岩が割れ、テコで割れ目を開いて剥離(はくり)していきます。

中世に中国大陸から日本に伝来した矢穴技法は、瀬戸内海の島々で用いられた石の切り出し方法で、小豆島(しょうどしま)などにも矢穴のある石がたくさん残されています。

千ノ浜の護岸は、矢穴の残る大小の石を巧みに組み合わせて護岸を構築しているのです。
石切り場(丁場)と積出港が近接しているのが北木島の石材業が発展した大きな要因で、海があったからこそ巨大な石を遠隔地まで運ぶことができたのです。
その歴史を物語る代表的な景観が、北木島のベニス(千ノ浜の護岸景観)です。

画像協力/岡山県観光連盟

北木島のベニス(千ノ浜の護岸景観)
名称 北木島のベニス(千ノ浜の護岸景観)/きたぎじまのべにす(ちのはまのごかんけいかん)
所在地 岡山県笠岡市北木島町
電車・バスで 北木島豊浦港から徒歩15分
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
北木の桂林(今岡丁場跡)

北木の桂林(今岡丁場跡)

岡山県笠岡市北木島町、日本遺産「笠岡諸島」の構成資産で、「石の島」として名高い北木島。今岡石材の採石場跡に雨水が溜まって丁場湖となり(丁場=石切り場)、中国の桂林に似た特異の景観を示すのが、北木の桂林(今岡丁場跡)。立入禁止区域外からマナー

石切りの渓谷展望台(鶴田丁場)

石切りの渓谷展望台(鶴田丁場)

岡山県笠岡市北木島町、日本遺産「笠岡諸島」の構成資産で、「石の島」として名高い北木島。現役の石切り場である鶴田丁場を眺める絶景のビュースポットが、石切りの渓谷展望台(いしきりのたにてんぼうだい)。北木石(きたぎいし)を採石する現場で、石を切

北木島・メビウスの輪

北木島・メビウスの輪

岡山県笠岡市北木島町、日本遺産「笠岡諸島」の構成資産となる石切り場がありで、「石の島」として名高い北木島。岡山県道295号(北木島線)沿い、北木の桂林(今岡丁場跡)近く、豊浦地区にあるのがメビウスの輪。正式名称は『空間のメヴィウス円環180

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

ABOUTこの記事をかいた人。

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ