くらしき川舟流し

くらしき川舟流し

岡山県倉敷市、倉敷川を取り囲む水辺景観の美しさから近年では外国人観光客にも人気の倉敷。倉敷美観地区を流れる倉敷川はかつては舟運で栄えた川ですが、その歴史を今に伝えるのが、くらしき川舟流し。倉敷館前で乗船し、今橋と高砂橋の往復で所要は20分ほどです。

倉敷川の和舟から倉敷美観地区を観賞

現在では倉敷川の河口から20kmも遡った場所にある倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)一帯は、天領(幕府領)だった江戸時代初めには海岸線にあり、その後埋め立てで児島湾(現在の児島湖)に向けての干拓地が広がりました。
江戸時代前半の門閥・古禄派、後半の新興商人である新禄派ともに財力を活かしての干拓によって農地を確保し、大地主にもなっているのです。
大地主でもあった豪商が、川沿いに蔵や商家を築いたのが、現在の倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)なので、舟上から眺めるのが最適です。

くらしき川舟流しのチケットは倉敷美観地区の中心、中橋前の倉敷館内にある、倉敷館観光案内所で販売(乗船券は当日のみ有効)。
長い竿で操船する和舟で、1艘の定員は6名、所要は20分のショートクルーズとなるため、手軽に乗船できます。
冬期(12月〜2月)は、土・日曜、祝日のみ運航。
季節限定で夜間運航もあるので倉敷観光コンベンションビューローのHPで確認を。

くらしき川舟流しの乗り場は、中橋の少し下流側にあり、倉敷館を眺めながらの乗船となります。
雨天、強風時には運休(購入した乗船券は倉敷館観光案内所で払い戻し)となるほか、イベントなどで運休することがあります。

大原孫三郎、大原総一郎と倉敷の関係を学んでから乗船を!

倉敷といえば、倉敷紡績と2代目社長の大原孫三郎は旅する上での重要なキーワードですが、紡績工場が倉敷に築かれたのも、江戸時代の干拓地が塩分に強い綿花の栽培に最適だったから。
本来は工業都市として発展を遂げたはずの倉敷ですが、大原孫三郎はイギリスの先進的工場経営者だったロバート・オーウェン(Robert Owen=綿業王、貧民階級救済のために協同主義社会の創設を提案、労働組合運動の先駆けに/後に空想的社会主義者と定義されています)を真似、工員が住む寄宿舎、病院、学校などが一体となった工場を整備、さらには日本初の本格的な西洋美術館として大原美術館を整備し、文化都市としての基盤を整えています。

さらに、息子である3代目社長・大原総一郎(おおはらそういちろう)は、「倉敷をドイツの歴史的都市ローテンブルクのようにしたい」と考えましたが、社長に就任したのが昭和16年で、戦争を目前にして実行に移すことはできませんでした。
しかし、大原総一郎の考えは後の文化人に多大な影響を与え、建築や民芸といった立場から戦後の景観保全活動につながり、美しい街並みが保全されることになったのです。

くらしき川舟流し
名称 くらしき川舟流し/くらしきかわふねながし
所在地 岡山県倉敷市中央1-4-8
関連HP 倉敷観光コンベンションビューロー公式ホームページ
電車・バスで JR倉敷駅から徒歩15分
ドライブで 山陽自動車道倉敷ICから約5km。瀬戸中央自動車道早島ICから約4km
駐車場 美観地区南駐車場(177台/有料)、美観地区東駐車場(148台/有料)、倉敷市中央駐車場(175台/有料)などを利用
問い合わせ 倉敷館観光案内所 TEL:086-422-0542
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)

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