太子駅(おおしえき)を知っている人は、かなりの廃墟マニア、あるいは鉄道ファンかもしれません。群馬県吾妻郡中之条町にあるのが太子駅跡で、昭和20年、鉄鉱石の積み出し駅と開業、昭和46年に廃止されていますが、鉱石積み出しのホッパーなどが遺構として残っていて、不思議な廃墟景観を生み出しています。
日本鋼管群馬鉄山の鉄鉱石を積み出した駅
日本鋼管群馬鉄山(入山元山)の鉄鉱石を運ぶ専用線の積み出し駅として、戦時下の昭和20年1月2日に長野原駅(現・長野原草津口駅)〜太子駅間の専用線とともに開業。
昭和27年10月1日に国鉄に移管され、長野原線の貨物支線となりました。
昭和36年9月1日からは旅客営業も開始しますが、ローカル線でしかも盲腸線ということで、昭和45年11月1日に営業を休止、そのまま昭和46年5月1日に廃止となっています。
群馬鉄山は穴地獄と呼ばれる強酸性の温泉湧出地で、チャツボミゴケと鉄バクテリアが副産物として鉄鉱をつくり、褐鉄鉱の鉱床があったことから、その採掘を目的に穴地獄基部につくられた鉱山です。
露天掘りで採掘されましたが、昭和40年にほぼ掘り尽くして閉山となり、現在はチャツボミゴケ公園として整備されています。
群馬鉄山から太子駅までは索道(鉄索ゴンドラ)で鉄鉱石を運搬し、コンクリート製の巨大なホッパー(貯炭槽)から貨車に積んでいました(ホッパー内に線路が敷かれ上から貨車に鉄鉱石を流し込んでいました)。
廃止されてからは土に埋もれて草に覆われていましたが、平成25年度からホッパー基礎部や線路を掘り起こし、クラウドファンディングで資金を調達してホームと駅舎を復元するなどして整備が進み(太子駅の構内に入るためには入館料が必要)、平成30年4月に公開、廃墟として注目の存在になりつつあります。
また廃線跡には5つのトンネルが残されていますが、そのうちの第一愛宕隧道(55.5m)、第二愛宕隧道(88m)は町道の道路トンネルに転用され、通行が可能です(他の3ヶ所は崩落が進んでおり、立入禁止に)。
また、太子線の分岐駅だった長野原駅(現・長野原草津口駅)近くには白砂川橋梁が現存し、吾妻線(あがつません)の車窓からも確認できます。
関東で廃墟となった駅が話題に! | |
所在地 | 群馬県吾妻郡中之条町太子251-4 |
場所 | 旧太子駅 |
関連HP | 六合の里温泉郷組合公式ホームページ |
電車・バスで | JR長野原草津口駅から中之条町コミュニティバスで14分、太子下車、徒歩5分 |
ドライブで | 関越自動車道渋川伊香保ICから約49km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 旧太子駅 TEL:0279-95-3055 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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