石戸蒲ザクラ

北本市にある、樹高14m、根回り7.4m、樹齢800年以上のカバザクラ(蒲桜)の古木で、国の天然記念物。三春の滝桜(福島県三春町)、山高神代桜(山梨県北杜市)、狩宿の下馬ザクラ(静岡県富士宮市)、根尾谷の淡墨桜(岐阜県本巣市)と並び、「日本五大桜」にも数えられる名木。

源範頼(蒲冠者)ゆかりの桜

「蒲冠者」と称された源範頼
ヤマザクラとエドヒガンの自然交配で誕生

時宗の寺である東光寺の境内に咲き、鎌倉時代に源範頼(みなもとののりより=源頼朝の異母弟)が石戸宿に逃げ込み、首尾良く隠れて逃げられたことが「蒲ザクラ」という名の由来です。

源範頼は、遠江国蒲御厨(かばのみくりや=現・静岡県浜松市東部にあった神宮の神領)で生まれ育ったため「蒲冠者」(かばのかじゃ)、蒲殿(かばどの)と呼ばれていました。
桜の根元には源範頼のものと伝わる墓石も残されていますが、源範頼が没したのは伊豆の修禅寺です(ただし、領地だった吉見観音に隠れ住んだという説、蒲ザクラの石戸宿に逃げ込んだという伝承もあります)。

滝澤馬琴の『玄同放言』(げんどうほうげん)にも渡辺崋山の挿絵入りで詳しく記されるなど、江戸時代から有名な桜だったことがわかります。

平成16年から樹勢回復事業が実施されている!

老木ゆえに樹勢は衰えつつあり、4本あった幹のうち、1本が残るのみとなっています。
昭和40年代には花を咲かせなくなったため、根元にあった10基の板石塔婆(総重量3トン)を移動させ、さらに根回りにあった石垣を竹垣に替えるなど周囲を整備。
平成16年からは土壌を改良など丹念な保護が行なわれ、樹勢回復事業功が奏して再び花が咲くようになっています。

ヤマザクラとエドヒガンの自然雑種で生まれたのがカバザクラですが、実は世界でこの一例のみという希少な種。
雑種ゆえの力強さで、病虫害や風雪、そして老齢化に耐えてきたのです。
クローン栽培で育てられたその子孫たちが市内の公民館や小中学校に植樹されています。

開花はソメイヨシノよりやや遅れ、例年の見頃は4月10日前後。

石戸蒲ザクラ
名称 石戸蒲ザクラ/いしとかばざくら
所在地 埼玉県北本市石戸宿3-119東光寺境内
関連HP 北本市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR北本駅から川越観光自動車北里大学メディカルセンター・石戸蒲ザクラ入り口行きで石戸蒲ザクラ入り口下車、徒歩1分
ドライブで 圏央道桶川北本ICから約2.8km
駐車場 臨時駐車場(200台/無料)を利用、土・日曜には満車となって渋滞
問い合わせ 北本市生涯学習課 TEL:048-594-5566
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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