日枝神社 (川越市)

830(天長7)年、円仁(慈覚大師)が無量寿寺(喜多院)を創建した際に、その鎮守として、860(貞観2)年に近江・坂本の山王権現(日吉山王社)を勧請して創建したという古社。天台宗・延暦寺の守護神として尊崇された山王権現を川越にも祀ったもの。大正時代の県道建設時に喜多院境内を離れ、喜多院山門の前に遷座しています。

天台宗と日枝神社の密なる関係を具現化した社

大正時代に仙波古墳群の前方後円墳を開削して遷座。
仙波日枝神社古墳(多宝塔古墳)は、前方部の一部に日枝神社が建築され、後円部の上には以前は多宝塔(現在は喜多院に移築)が建っていました。
ちなみに喜多院境内の慈眼堂(川越大火以前には東照宮)も仙波古墳群の慈眼堂古墳の上に建立されています。

山王神道(さんのうしんとう)で天台宗と密接に結びついた日枝神社の祭神は、僧形の大山咋神(おおやまくいのかみ)・大己貴命(おおくにぬしのみこと)。

本殿は朱塗りの三間社流造、銅板葺で国の重要文化財になっています。

ちなみに、有名な赤坂の日枝神社は、1478(文明10)年、太田道灌(おおたどうかん)が江戸に城を築くにあたり、川越喜多院から分祀したことに創始します。

天海僧正が生み出した「山王一実神道」と東照宮

天台宗の総本山である比叡山延暦寺で生まれた神道の流派が山王神道。
山王権現(日吉大宮権現)は釈迦の垂迹(すいじゃく=仏が神の形を取って仮に現れること)であるとされ、神仏分離では大山咋神とされました。
「黒衣の宰相」といわれた天海は、家康の没後、延暦寺の鎮守としてあがめられる日吉山王と天台宗の教理を「山王一実神道」(さんのういちじつしんとう)へと発展させ、家康の霊を権現(東照大権現)の神号で祀ることを主張します。
山王一実神道では、山王権現とは大日如来であり、天照大神であると説いたのです。

家康は、久能山では吉田神道(よしだしんどう=京・吉田神社の神職・吉田兼倶によって大成された仏教・道教・儒教の思想を取り入れた、総合的な神道)によって埋葬されていますが、日光山へ再埋葬されるにあたり、山王一実神道(さんのういちじつしんとう)の流儀で祀られることとなり、家康の墓所に東照宮が建立されました。

天海大僧正
日枝神社 (川越市)
名称日枝神社 (川越市)/ひえじんじゃ(かわごえし)
所在地埼玉県川越市小仙波町1-4-1
関連HP喜多院公式ホームページ
電車・バスで西武新宿線本川越駅から徒歩20分
ドライブで関越自動車道川越ICから約4km
駐車場明星駐車場(120台/有料)、1月3日休
問い合わせ喜多院拝観寺務所 TEL:049-222-0859
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
喜多院(川越大師)・五百羅漢

喜多院(川越大師)・五百羅漢

埼玉県川越市にある、円仁(慈覚大師)創建と伝えられ、家康・秀忠・家光の徳川3代に仕えた天海大僧正ゆかりの名刹が、喜多院(川越大師)。境内にある五百羅漢は、天明2年(1782年)〜文政8年(1825年)の50年間にわたって建立されたもので、5

喜多院(川越大師)・鐘楼門

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喜多院(川越大師)・山門

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喜多院(川越大師)・慈眼堂

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仙波東照宮

1616(元和2)年に没した徳川家康の法要は、久能山から日光山輪王寺に改葬される際の1617(元和3)年3月23日〜26日に川越の喜多院で執り行なわれています。その際に、後水尾天皇から東照大権現の勅額が下賜されていますが、それに伴って喜多院

喜多院(川越大師)

830(天長7)年、慈覚大師・円仁(えんにん)により創建された古刹が喜多院(川越大師)。1296(永仁4)年、伏見天皇が尊海僧正に再興を命じ、慈恵大師(元三大師)を祀って関東天台の中心的な存在となりました。さらに1599(慶長4)年、27世

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