埼玉県行田市、「十万石ふくさや行田本店」、「足袋とくらしの博物館」などのある市街中心地に建つのが武蔵野銀行行田支店。昭和9年6月に忍貯金銀行(おしちょきんぐんこう)本店として建築されたレトロな銀行建築で、外壁はスクラッチタイル張り。国の登録有形文化財に指定されています。
足袋産業で繁栄を背景に、行田の中心街に建てられた銀行建築
鉄筋コンクリート造り、2階建ての銀行建築は、現役の銀行(武蔵野銀行)として使用され、道路に面して吹き抜けの営業室が配されています。
装飾もなかなか凝っていて、縄編み模様のコーニス(洋風建築の軒と壁の頂部に帯状に取り巻く装飾)は石に見せたカストストン(人造石)。
前身は明治30年に開業した忍貯金銀行。
昭和29年に創業した忍商業銀行の子会社で(忍商業銀行本店は、現在の埼玉りそな銀行行田支店)、足袋産業で繁栄する行田で、小口の預金を集めるために市街地の中心に本店を設けたもの。
頭取は、忍商業銀行の専務取締役が兼任していました。
忍貯金銀行は、大正8年に桶川貯蓄銀行を合併、昭和18年、戦時下の銀行統合で、埼玉県下4銀行が合併し、埼玉銀行になっています。
戦時中に行田足袋元売販売株式会社が建物を買取、戦後、足袋会館(足袋組合の会館)として使われ商工会議所の事務所が置かれていましたが(行幸で昭和天皇も訪れています)、昭和44年以降、武蔵野銀行行田支店として使われています。
日本遺産「足袋蔵のまち行田」の構成資産
日清戦争(明治28年〜明治29年)後、国内は好景気に沸きますが、行田の足袋産業も恩恵を受け発展します。
ちょうどそんな時代に開業したのが忍商業銀行と、その系列の忍貯金銀行です。
それまで、地元資本の銀行がなかった行田では、利益を群馬や長野に吸い上げられるという事態が生じており、地元の大地主たちも参加して、銀行が設立したのです。
行田の足袋産業は、最盛期の昭和13年~昭和14年に最盛期を迎え、全国の約8割の足袋を生産する日本一の産地となっていますが、その繁栄を今に伝える銀行建築が、この武蔵野銀行行田支店といえるのです。
そうした背景を受け、武蔵野銀行行田支店の店舗は、日本遺産「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」の構成資産にもなっています。
武蔵野銀行行田支店 | |
名称 | 武蔵野銀行行田支店/むさしんぎんこうぎょうだしてん |
所在地 | 埼玉県行田市行田4-5 |
関連HP | 武蔵野銀行公式ホームページ |
電車・バスで | 秩父鉄道行田市駅から徒歩5分 |
ドライブで | 関越自動車道花園ICから約24km |
問い合わせ | 武蔵野銀行行田支店 TEL:048-556-3195 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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