埼玉県川越市、川越市川越伝統的建造物群保存地区に選定される蔵造りの町並み(川越一番街商店街)にある商家で、老舗の和菓子店が、亀屋本店(山崎家住宅)。浅間山が噴火した天明3年(1783年)の創業(初代は信州中野の出身)で、現存する店蔵は、明治27年、5代目・山崎嘉七の建築。
川越大火直後に建てられた豪商の店蔵が現存
明治26年3月17日に発生した川越大火(川越町の全戸数3315戸のうち、1302戸を焼失)後に防火建築として建てられた店蔵。
1年の歳月と、総工費1万111円50銭9厘(現在の貨幣価値で2億円)を費やし完成させた店舗が、現存する亀屋本店です。
山崎家は川越藩の御用商人時代からの川越屈指の豪商。
明治11年12月17日に川越の豪商たちが集まって設立した第八十五国立銀行の発起人にも、4代目・山崎嘉七(山崎豊)が名を連ね、明治33年には、埼玉県内初の商工会議所となる川越商業会議所(現在の川越商工会議所)の初代会頭に就任しています。
5代目の嘉七が襲名したのは明治16年、弱冠14歳のときで、10年後、24歳のときに川越大火に遭遇し、店の再建に乗り出しています。
大火にもめげず、明治31年にはさつま芋の新品種「紅赤」を使った芋煎餅「初雁焼」を考案。
さらに「初雁城」、「初雁糖」、「初雁霰」を開発し、進取の気性から洋菓子の製造販売を開始しています。
現在の「三つ亀甲」を商標登録し、昭和2年に6代目に譲っています。
現在、川越市が管理する旧山崎家別邸(国の重要文化財)は、5代目・山崎嘉七の隠居所として建てられた建物です。
明治時代の川越は、埼玉随一の商都として発展し、しかも人口も最大を誇っていました。
職人の技術力と山崎家を財力を結集させた蔵は、2階部分の重厚な観音扉にも表れています。
この扉、閉めれば完全に密閉されるという耐火構造で、窓の下にはの火災時に人が立ち、密閉性を高めるため扉の目地に土などを塗りこめるための目塗台(めぬりだい)が設置されています。
店蔵の脇には重厚な袖蔵も設けられ、いかに豪商だったのかがよくわかります。
昭和57年には店舗裏の旧工場跡地(川越市芳野台に新工場建設)を利用し、4代目・山崎嘉七(山崎豊)生誕150周年を記念して「山崎美術館」(公益財団法人山崎美術館)を開館しています。
人気の「亀の最中」は、一口サイズの亀甲型最中で、昭和初期に6代目・山崎嘉七が考案したもの。
「初雁シリーズ」は、5代目・山崎嘉七が明治時代に創案した歴史ある芋菓子で、芋せんべい「初雁焼」、芋の蜜漬け「初雁糖」、油で揚げた「初雁霰」の3タイプあります。
2月上旬~3月中旬の桜餅、4月上旬~5月上旬の柏餅、5月中旬~8月下旬頃の麩まんじゅう、9月上旬~1月上旬の栗蒸し羊羹など、季節の生菓子も販売されているので、川越散策の際には、立ち寄りをおすすめ。
オンラインショップも開設。
亀屋本店(山崎家住宅) | |
名称 | 亀屋本店(山崎家住宅)/かめやほんてん(やまざきけじゅうたく) |
所在地 | 埼玉県川越市仲町4-3 |
関連HP | 亀屋本店公式ホームページ |
電車・バスで | 西武新宿線本川越駅から徒歩15分 |
ドライブで | 関越自動車道川越ICから約6km |
駐車場 | 市内観光用駐車場(157台/無料)、周辺の有料駐車場を利用、土・日曜、祝日のみ市庁舎南側駐車場(120台/有料)、市庁舎北側駐車場(90台/有料)を利用可能 |
問い合わせ | 亀屋本店 TEL:049-222-2052 |
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