比叡山延暦寺の表坂登山口、そして日吉大社の門前町として繁栄した坂本には延暦寺僧侶の隠居所「里坊」も多数残されていますが、そのひとつが旧竹林院で、庭園は八王子山を借景とし、築山を配し大宮川を曲水として巡らせた見事なもの。80ヶ所を超える数の里坊の中でも格式が高く、庭園は3300平方メートルと最大規模を誇っています。
坂本伝統的建造物群保存地区にある里坊で庭園を拝見!
旧竹林院の建物は、坂本伝統的建造物群保存地区の伝統的建造物に、江戸時代初期に築造された書院前庭園は国の名勝に指定。
大宮川を取り入れた曲水を中心に、築山や石塔を配し大正時代に建てられた茶室とあずまやが築かれています。
現在、坂本には里坊が54ヶ所あり(建物は織田信長の焼き討ち後の再建)、瑞応院、律院、壽量院など美しい庭園を有する里坊もありますが、いずれも通常は非公開になっており、旧竹林院は往時の雰囲気を知る貴重な存在です。
竹林院は、1592(天正20)年、比叡山延暦寺の隠居屋敷として建立。
明治時代に資産家の手に移り別荘として使用され、明治30年に2階建ての主屋が建てられています(大津市指定景観重要建造物)。
現在は大津市が管理し一般に公開。
主屋には26畳の広間があり、茶室として用いられ、庭を眺めながらお抹茶をいただくことも可能です。
旧竹林院の向かいには、やはり国の名勝に指定の旧白毫院庭園(きゅうびゃくごういんていえん/料亭芙蓉園)があり、一帯が坂本伝統的建造物群保存地区の中核的なエリアになっています。
旧竹林院庭園にも穴太積(あのうづみ)の石垣を見ることができますが、国の重要伝統的建造物群保存地区となった坂本は有名な「穴太衆」(あのうしゅう)の故郷(大津市坂本穴太)。
安土城の石垣を施工し、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの配下として、各地の城の石垣を築いています。
僧侶の修行の基本的な生活ベースで、谷にある山上の坊が「山坊」で山学山修の場として機能していました。
これに対し、僧侶の隠居後の地として生まれたのが里坊です。
すべての里坊は、三塔十六谷に所属し、里坊の発展とともに東塔の止観院、西塔の生源寺、横川の弘法寺が総里坊となっていました。
とくに止観院は、坂本全体の行政を司り、年貢収納、裁判機能なども有していたのです。
坂本伝統的建造物群保存地区と呼ばれる町並みは、この里坊の町です。
旧竹林院 | |
名称 | 旧竹林院/きゅうちくりんいん |
所在地 | 滋賀県大津市坂本5-2-13 |
関連HP | 旧竹林院公式ホームページ |
電車・バスで | JR湖西線比叡山坂本駅から徒歩20分、または京阪石山坂本線坂本駅から徒歩10分 |
ドライブで | 名神高速道路京都東ICから約10.5km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 旧竹林院 TEL:077-578-0955 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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