大陸から伝来した楽舞をルーツに、平安時代に大成した器楽を使った舞が舞楽。歴史ある社寺には、その舞楽を奉納するための舞台が用意されていますが、日本最初の官寺・四天王寺(大阪市)の石舞台、全国にある住吉神社の総本社・住吉大社(大阪市)の石舞台、そして厳島神社(広島県廿日市市)の板舞台が日本三舞台に数えられています。
神仏へ奉納する目的で始まった舞楽
舞楽も神楽と同様に本来は神仏を楽しませるもの。
四天王寺に伝承される「聖霊会の舞楽」は、聖徳太子が外来音楽(雅楽の前身)で三宝(仏・法・僧)を供養せよと命じて始まった天王寺楽所(てんのうじがくそ)がルーツです。
厳島神社に伝わる舞楽は、平清盛が天王寺から移したものと伝わります。
住吉大社も、『源氏物語』「若菜下」の巻に光源氏の住吉詣が描かれ、御神楽の奉納などがあったことがわかります。
中世、近世には住吉楽所が舞楽を奉納していましたが、明治の廃仏毀釈(住吉神宮寺の廃絶)、神仏分離で、住吉楽所も途絶し、美しい石舞台がその歴史を伝えています。
四天王寺・石舞台
所在地:大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
建築:現存する石舞台は元和年間(1615年~1624年)築
奉納:天王寺楽所が雅楽を奉納、現在は国の重要無形民俗文化財に指定される「聖霊会の舞楽」(天王寺舞楽)を毎年4月22日の聖霊会(しょうりょうえ=聖徳太子の命日法要)に奉納
住吉大社・石舞台
所在地:大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
建築:現存する石舞台は慶長12年(1607年)、豊臣秀頼の寄進
奉納:5月上旬の卯の日、御鎮座記念の祝祭として斎行される『卯之葉神事』(うのはしんじ)に舞楽が奉納
厳島神社・板舞台(平舞台・高舞台)
所在地:広島県廿日市市宮島町1-1
建築:(平舞台)戦国時代に本殿などを改修した毛利元就(もうりもとなり)によって寄進されたと伝えられる赤間石の柱が板舞台を支える/国宝
(高舞台)現存する舞台は天文15年(1546年)、棚守房顕の築/国宝
奉納:(平舞台)平清盛が都の「管絃の遊び」を模し、神様を慰める神事として執り行なわれたのが始まりという『管絃祭』(旧暦6月17日)での出御、還御はここから
(高舞台)平清盛が大阪・四天王寺から移したという舞楽は高舞台で演じられます(年10回ほど十数曲の舞楽が舞われています)
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