静岡市葵区の安倍川源流・安倍奥、大谷嶺(おおやれい)の南斜面にある大崩壊が大谷崩(おおやくずれ)。宝永4年10月4日(1707年10月28日)の宝永地震による山体崩壊で生まれた巨大な崩壊地で、稗田山崩れ(長野県小谷村)、鳶山崩れ(富山県立山町)とともに日本三大崩のひとつに数えられています。
大谷崩展望地近くまで車で到達可能
標高2000mの大谷嶺山頂から標高差800mにわたって崩落し、大谷川(安倍川の支流)の源流部には砂防堰堤が段々に連なっています。
大谷崩は、大谷嶺の登山道入口にあるため(登山道は大谷崩を詰めていきます)、登山道入口の大谷崩駐車場(標高1230m)まで車で入ることができます。
駐車場から5分ほど上った場所に展望地があり、周辺の砂防堰堤はすべて崩落を続ける石で埋まっています(大雨の後などは立ち入らないのが賢明です、登山道も落石の危険があります)。
山体崩壊で発生した土砂は1億2000立方メートルと推測されますが、地震だけではなく数百年〜数千年単位で崩壊が続いていると推測されています。
宝永地震による山体崩壊では、大谷川と三河内川の合流点上流を堰止めて大池が誕生し(現在の梅ヶ島新田地区)、明治初頭まで池が存在していたと伝えられています。
静岡市街から梅ヶ島温泉に向かう静岡県道29号(梅ケ島温泉昭和線=安倍街道)途中にある赤水の滝(落差50m)は、大谷崩の生んだ土石流の末端に位置する滝で、赤水という名も土石流の土から生まれる赤い水のための名前。
宝永地震後の大雨で数回に分かれて土砂が下流へと押し流され、安倍川には数段の河岸段丘が誕生。
新田集落や赤水集落はそれ以降に、河岸段丘上に築かれた集落なのです。
現在、梅ヶ島新田地区に残る石垣は、度重なる土石流での被害を防ぐための住民の知恵だったとか。
実は、南アルプス一帯は、プレートの影響で、年間4mmと世界でも最大級の速度(日本国内では最速)で隆起しており、糸魚川静岡構造線が通るなどの崩れやすい地質上の特性もあって、山の崩壊も進んでいるのです。
大井川上流の畑薙、青薙などのナギという名も崩壊位置を示した地名。
大谷嶺は、砂岩と頁岩が互層となる瀬戸川層群と呼ばれる地層で、太平洋からの湿った空気が南アルプスにぶつかって雨を降らせます。
そんな土地に大地震が発生したため、山体崩壊が生じたのです。
安倍川には大量の土砂が流れ出るため、ダムを築くことができません。
ちなみに、静岡市安倍奥の大谷崩れ、富士山の大沢崩れ、大崩海岸は「駿河三大崩れ」とも呼ばれています(地元・静岡の人は、これを「日本三大崩れ」と混同している人も多数)。
大谷崩 | |
名称 | 大谷崩/おおやくずれ |
所在地 | 静岡県静岡市葵区梅ヶ島 |
関連HP | 静岡市公式ホームページ |
ドライブで | 新東名高速道路新静岡ICから約36kmで大谷崩駐車場 |
駐車場 | 大谷崩駐車場を利用 |
問い合わせ | 静岡市環境局環境創造課 TEL:054-221-1357 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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